米朝攻防 焦点を聞く(1)ヒル元米国務次官補 2018/05/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「米朝攻防 焦点を聞く(1)ヒル元米国務次官補」です。





トランプ米政権は中止を発表した6月12日の米朝首脳会談について、北朝鮮側と再調整の協議を続けている。激しさを増す米朝の外交戦の行方と関係国への影響について各国の識者に聞く。1回目は米国のブッシュ(子)政権で北朝鮮との交渉にあたったクリストファー・ヒル元国務次官補。(1面参照)

1面参照

――トランプ米大統領がいったん自らが中止を決めた米朝首脳会談の開催に再び前向きな姿勢をみせています。

「中止はトランプ氏が北朝鮮は非核化について対話する用意はあるが非核化そのものに取り組むつもりはなく、会談しても結果が出ないと(24日の時点で)認識したためだろう。そうだとしたら中止は正解だ」

――トランプ政権は非核化の進め方について北朝鮮が求める「段階的な措置」には否定的です。

「非核化が完了するまで何も与えず、一瞬のうちに核兵器を取り除くことができるならそれに越したことはない。ブッシュ(子)政権は好んで段階的な措置をやったわけではないが、それが最善の方法だった」

――核放棄につながる確かな措置を第1段階でまずとれば、それに見返りを与えていいと。

「それが現実的で、ベターな方法だ。もしどちらかがその方法を提案したら、それで合意することを期待する」

――どうすれば今後の交渉で段階的な非核化を成功させられますか。

「しっかりした検証ができれば国際原子力機関(IAEA)に核兵器を管理させ、国外に搬出できる。私たちの場合、検証がうまくいかなかった。北朝鮮は自分たちが申告した部分だけの検証を求めたが、私たちはそれ以外にも核計画があると疑った。それ以上は検証(の話し合い)を続けることができなかった」

「私が補佐官なら大統領にこう助言する。『ポンペオ国務長官に代表団を結成させ、まず共同文書の草案をまとめて北朝鮮側に渡しましょう』と。北朝鮮は対案を出したり米国案の修正を試みたりするかもしれない。その過程で少なくとも北朝鮮が真剣な対話の意思があるかどうかは分かる」

――ブッシュ(子)政権幹部だったボルトン大統領補佐官は強硬な姿勢です。

「ボルトン氏が(核放棄モデルとして米国が政権存続を保証しなかった)リビア方式について発言したとき、意図的に騒ぎを起こそうとしたのかと疑った。彼は自分と意見が合わない人間と口をきくのを嫌う。ブッシュ政権当時も大統領やライス大統領補佐官らを批判していた。忠誠心があるタイプでもなく、高潔でもない。トランプ氏もそのうち分かるだろう」

――この問題で協力が必要な中国とは通商摩擦を抱えています。

「このタイミングで貿易戦争をやるのはバカげている。トランプ氏が『もし北朝鮮問題で協力するなら、関税率を下げる』などと交渉するのは良くない。キッシンジャー元国務長官ら中国が信頼する人物を派遣し、いかに米国が北朝鮮問題を持続的な形で解決したいか伝えるのが重要だ」

――緊張を高めて相手に譲歩を迫る北朝鮮の瀬戸際外交にどう対応すべきでしょうか。

「彼らはいったん何かに合意すると、その1時間後に『新しい指示が下りた。もうさっきの件は白紙だ』と言ってくる。だから私はよくこう応じていた。『いいんだ。しかし、私はいったん合意したことをあなた方が受け入れるのを確約するまでもう話をしない』と」

「それで(核問題を巡る)6カ国協議で北朝鮮首席代表の金桂官(キム・ゲグァン)外務次官(当時)と3日間、口をきくのを拒んだ。慌てた中国が平壌と何回もコンタクトをとり、こう私に言った。『きょう北朝鮮と会えばいい。(元の合意を受け入れるとの)新しいメッセージがある』。それで金氏と会うと、その通りになっていた」

(聞き手は ワシントン=永沢毅)

=随時掲載

 ブッシュ(子)政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補。6カ国協議の米首席代表として北朝鮮との交渉を進め、2005年9月に北朝鮮の核放棄を盛り込んだ共同声明をとりまとめた。65歳。



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