経営書を読む 小倉昌男著「小倉昌男 経営学」(4) 失敗から学ぶ 成功体験は「知の探索」鈍らす 2015/08/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む 小倉昌男著「小倉昌男 経営学」(4) 失敗から学ぶ 成功体験は「知の探索」鈍らす」です。





 小倉昌男氏の第3の学習姿勢は「失敗から学ぶ」ことです。本書では、自身や周囲の失敗から教訓を得て糧とする場面が多く示されます。

 人・組織は、成功と失敗のどちらから学習できるのでしょうか。経営学の重要な研究対象であり、まだ確かな答えはありません。しかし近年の研究から「成功よりも、失敗からの方がより学べる」可能性が示されています。これを説明するのも、第1回で登場した「知の探索」理論です。

 人には自分の認識の範囲(=世界観)があります。しかし自分の見ている世界が本当に「現実の世界」を正しく映しているかはわかりません。そこで「知の探索」をすることで、世界観を広げる必要があります。

 しかし、成功を重ねると、「自分の世界観は本当の世界を映している、だから自分は成功したのだ」と考えがちです。結果として知の探索が怠りがちになります。失敗すると「自分が見ていた世界は現実を映していないかもしれない」と考え、さらに知の探索をするようになり、長い目で見て成功するのです。

 興味深い事例が、1章で語られるヤマト運輸の失敗です。昌男氏の父・康臣氏が創業した同社は戦前、関東ローカル一円のトラック輸送で日本一と呼ぶにふさわしい運送会社でした。戦後、鉄道輸送中心だった長距離輸送にトラック業者が進出し、市場が成長します。

 しかし、成功体験から「トラックの守備範囲は100キロメートル以内」という世界観を変えられなかった康臣氏により、長距離輸送の進出に遅れます。ようやく進出した時には、同業他社が市場を独占していました。

 この経験を「失敗」と認識した昌男氏はその後も知の探索を進めます。筆者は昌男氏の最大の強みは「失敗を失敗と認めること」にあると考えます。「悪い部分は悪い」と認めるからこそ、いつまでも知の探索を止めなかったのでしょう。

=この項おわり



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