経営書を読む 日本はなぜ敗れるのか(4) 反省力なき事 戦後70年、現代・日本に警鐘 2015/010/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「」です。





 本書を取り上げた目的は過去の反省からできるだけ現代の社会やビジネスへの示唆を得るためです。小松真一氏の「虜人日記」に記された敗因21カ条に「反省力なき事」があることは皮肉でもあり、必然でもあります。

 山本七平氏は太平洋戦争と、官軍が西郷隆盛率いる士族軍を破った明治の西南戦争を対比し、日本の反省力のなさを浮き彫りにしています。

 鹿児島で決起した西郷軍は相手がどれほど数や火力で勝るかを研究しようともせず、武士である自分たちが負けるはずがない、緒戦の勢いに乗り短期で決着がつく(なので補給は重要ではない)といった前提で作戦を立てます。しかし実際には、官軍の圧倒的な火力の前に敗れ去ります。

 この作戦思想や敗戦に至るパターンが、太平洋戦争の敗戦パターンと驚くほど酷似していると山本氏は分析します。米国は真珠湾での被害を反省し、海軍編成を戦艦中心から空母機動部隊中心に大転換し、陸海空が連動した用兵術を開発しました。日本も西南戦争をしっかり反省していれば、開戦に至らなかった可能性を含め、結果は違っていたかもしれません。

 反省の不足は開戦後も続きます。21カ条で唯一地名が出るものに「バアーシー海峡の損害と、戦意喪失」があります。制海権のなくなった台湾とフィリピンの間のバシー海峡に兵員を満載した旧式輸送船を次々と繰り出しては撃沈され、一戦も交えず大勢の戦死者を出しながらやめなかった悲劇を指しています。

 戦後70年を迎え、私たちの置かれた社会的・政治的・経済的環境はかつてと全く異なります。しかし、本書が分析し警鐘を鳴らした問題点は現代の日本人や日本企業、あるいは日本という枠を超えた企業活動一般にも当てはまるものが驚くほど多いように思います。私たち全員が戦争や自社の過去の失敗の教訓を反省し、次の発展につながる契機としたいものです。

=この項おわり



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