経営書を読む C.K.プラハラード著「ネクスト・マーケット」(3) エコシステムづくり 貧困層へのビジネス教育 重要 2016/04/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のキャリアアップ面にある「経営書を読む C.K.プラハラード著「ネクスト・マーケット」(3) エコシステムづくり 貧困層へのビジネス教育 重要」です。





 世界に40億人いる貧困(BOP)層へのビジネスは、企業単独では成しえません。途上国には先進国以上に多様な取引先・ステークホルダーがおり、彼らを巻き込む仕組みをつくらなければならないのです。この多様なプレーヤーを巻き込む仕組みをプラハラードはエコシステム(生態系)と呼びます。BOP市場に進出する先進国企業にはエコシステムの形成が求められます。

 例えば同書は、欧州企業ユニリーバのインド子会社HULを取り上げます。日用品・食料品を扱うHULのエコシステムにも、150の工場からなる中小サプライヤー、1万2000の卸業者、30万の中小・零細の小売業者、4万の部族民、あるいは州政府など、多様なプレーヤーがいます。

 中でも興味深いのはシャクティ・アマと呼ばれる多数の個人起業家です。インドのような巨大BOP市場では農村部までHUL単独の直販網が届きません。代わりにシャクティ・アマが農村部の直販を担っています。

 ここで彼らをエコシステムに巻き込むポイントは「教育」である、とプラハラードは述べます。それも学校教育のような座学ではありません。実際に市場でのビジネスを経験させ製品・価格・収益の知識を学ばせます。

 さらに重要なのは契約の知識です。彼らに契約の概念を教え、契約を順守すれば利益が得られることを体感させることで、シャクティ・アマは一人前の起業家として育っていくのです。

 ビジネスを通じてBOP層の人々を教育することは、彼らの尊厳の向上にもつながるようです。本書によると、あるシャクティ・アマは「(この仕事を始めて)やっと一人前の人間になれた」と言ったそうです。HULがインドで契約するシャクティ・アマは、いまや100万人に達します。BOPのエコシステムとは、このように民間企業が市場メカニズムの規範を植え付けることで形成され、それが貧困問題解決にもつながるのです。



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