経済観測 百貨店から見る「真水」の消費 中間層、なお力強さ欠く 三越伊勢丹HD社長 大西洋氏 2015/06/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「経済観測 百貨店から見る「真水」の消費 中間層、なお力強さ欠く 三越伊勢丹HD社長 大西洋氏」です。





 アジアを中心とした訪日外国人の旺盛な買い物(インバウンド消費)で久しぶりに明るい話題が多い百貨店業界。果たしてこの特需を除いた“真水”の個人消費はどうなのか。業界最大手、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長に聞いた。

都市部は手応え

 ――消費増税から1年がたちました。足元の商況はいかがですか。

 「4、5月の販売実績は計画値を上回っている。6月は天候不順などもあって若干、伸び悩んでいるが、表面上の消費は少しずつよくなっている。大手百貨店はどこも同じような傾向だ。目先のギリシャ債務問題は気がかりだが、インバウンド消費に加え、株高による資産効果で短期的にはお金が消費活動に回っているのは確かだ」

 「ただ手応えを感じているのは都市部だけで地方にある店は大変、きびしい。都市部と比較して販売実績の増減率の差は3~5ポイントくらいの開きがある」

 ――もし、インバウンド消費がなかったら、どうなっていますか。

 「(消費増税の反動減があった昨年4、5月ではなく)一昨年の同じ時期と比べるとぎりぎりプラスといったところだ。主に富裕層が動いているからで、中間層の消費についてはまだ力強さはない」

 ――それはどんな消費シーンでわかりますか。

 「例えば、(主に中間層が買う)婦人靴の中心価格帯を2万3千円から2万6千円にしているが、お店に来てもっといい靴を買おうと3万3千円前後の靴を手にする顧客が少ない。ところが、それよりも上の価格帯の靴は2桁の伸びを見せている。そこまで高い価格帯に手が届くのは富裕層なのだろう」

 「紳士のスーツでも同じ傾向がある。中心価格帯が8万円前後のものは伸びは鈍いが、13万円前後のスーツは好調だ」

 「婦人服全体としては10%くらい落ち込んでいる。その傾向はここ数年続いている。手ごろな価格のファストファッションに顧客が奪われているのではなく、ネット通販やリサイクルショップの影響があると考えている。紳士服は景気の遅行指標といわれたが今は景気と連動している」

 ――消費行動自体も変化しているのですか。

 「衣料品など季節によって必要になる商品を前もって買うよりも、『今着たい』『旬な時期に買いたい』という傾向が強くなっている。伊勢丹新宿本店のショーウインドーは6月には夏物を飛び越えて秋冬物を展示していた。ファッションに敏感な消費者は今もこの時期に秋冬物を買うが、昨年からこの時期のショーウインドーは夏模様に変えた」

先行きに明るさ

 ――2017年4月に消費税が引き上げられます。

 「昨年のような落ち込みがあるとは思っていない。賃上げもある。インバウンド消費はさらに存在感を増しているだろうし、よほど大きな国内外の経済情勢の変動が起きない限りは順調に行くと見ている。その先には20年の東京五輪・パラリンピックも控える。心理的に明るい要素がいろいろと織りなしながら消費はいい方向に向かっていくだろうと見ている」

(聞き手は

編集委員 田中陽)



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