経済観測 米利上げ時期、どう見る 物価見極め12月以降に 2015/10/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「経済観測 米利上げ時期、どう見る 物価見極め12月以降に」です。





 米連邦準備理事会(FRB)が利上げ開始の時期を探っている。中国の景気減速を発端とする金融市場の混乱を乗り越え、ゼロ金利政策を解除できるのか。ランドール・クロスナー元FRB理事に聞いた。

今月の確率は低い

 ――FRBは9月の利上げを見送りました。

 「米国の労働市場は十分に改善した。非農業部門の雇用者は月20万人程度のペースで増え、失業率も5.1%まで下がった。だが中国を含む新興国の景気減速、世界的な市場の混乱、ドル高の進行などが重なって、物価に下押し圧力がかかっている。それが利上げ見送りの大きな理由だ」

 「9月17日に発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で触れていたように、市場の物価予想(インフレ期待)もこのところ低下している。前年比2%の物価上昇率目標を達成できるという確信を得るのが難しい状況にある」

 ――FRBのイエレン議長は、年内の利上げが適切だと語っています。

 「米国には2~2.25%以上の実質成長率を維持する力がある。しかし中国経済がどこまで減速し、米経済にどれだけの影響を与えるのかを、十分に見極めたいはずだ。今月27~28日に開く次のFOMCまでに得られる情報はそれほど多くない。ここで利上げを始める確率は低いだろう」

 「12月15~16日のFOMCで利上げに動く可能性はある。ただ9月の雇用統計は低調な結果に終わった。物価の下押し圧力が強い状況はまだ続きそうだ。来年に持ち越す確率の方が高くなったのではないか」

 ――前回の利上げ局面(2004~06年)ほど、市場との対話が成功していないのではないですか。

 「FRBの仕事は当時よりも複雑だ。ほぼゼロの政策金利をこれほど長く維持した経験はない。利上げの道筋を確約せず、慎重な姿勢で臨みたいという気持ちはよくわかるし、賢明だと思う。0.25%刻みの利上げを17回連続で実施した前回とは異なり、もっと緩やかな金融引き締めになることは明確にしている」

日本は緩和拡大も

 ――中国経済の行方をどうみていますか。

 「実質成長率が7%を下回っているのは明らかだろう。輸出・投資主導型から消費主導型への経済構造転換は重要だが、足元の景気を減速させる要因になる。経済運営の透明性が低く、それが市場の変動を大きくしている面もある」

 「問題は中国の指導者が難局をうまく乗り切れるかどうかだ。その力量に疑問が投げ掛けられている。08年9月のリーマン・ショック直後のように、巨額の債務を背負って投資を拡大することはできない」

 ――日欧の追加緩和観測も浮上しています。

 「日銀は量的金融緩和の拡大を検討する可能性がある。期待に反して賃金が伸び悩み、商品価格の下落などもあって物価に下押し圧力がかかっている」

 「欧州中央銀行(ECB)の量的緩和拡大は、必ずしも必要だとは思わない。欧州経済は徐々に回復しており、ギリシャの財政危機も峠を越えたようにみえる。主要国・地域の金融政策の方向性が違ってくるのは、異例とはいえない」

(聞き手はワシントン支局長 小竹洋之)

 Randall Kroszner 米シカゴ大教授。2006~09年にFRB理事。53歳



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