総統選後の台湾(中)中国、統一へ長期戦覚悟 2016/01/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「総統選後の台湾(中)中国、統一へ長期戦覚悟」です。





中国の国営中央テレビが2015年7月初めに放送した軍事演習の特集。番組が始まって約4分後のことだった。内モンゴル自治区の訓練基地で、土ぼこりの中を前進する歩兵の左前方に一瞬、台湾の総統府にうり二つの建物が映った。

(画像:中国国営中央テレビが15年7月に報じた軍の演習(同テレビホームページより)には、台湾の総統府にそっくりの建物が映っていた)

(画像:台湾の総統府)

「選挙へ圧力か」

「総統選挙への圧力ではないか」。番組内容は台湾でも大きく報道され、改めて台湾住民の対中警戒感を呼び覚ます結果となった。

中国が08年以降、融和的な国民党・馬英九政権の下で台湾との交流を深めてきたのは、将来の統一につなげる環境づくりが狙いだ。蔡英文次期総統が、民進党が党綱領に掲げる通りに台湾独立に動けば、武力統一する選択肢を捨ててはいない。

しかし、中国が直ちに強攻策に転じるとの見方は少ない。呉●燮(●はかねへんにりっとう)・民進党秘書長(幹事長)は「中国の習近平国家主席の台湾政策には柔軟性がある」とみる。根拠は中国は総統選が事実上始まった15年春以降も、台湾との様々な協定の協議を続けたことだ。

15年11月には習氏自らが初の中台首脳会談に応じる積極性をみせた。対中政策の担当閣僚の経験もある呉氏は「交流のある学者などを通じ、習指導部と意思疎通したい」と意欲を見せる。

中国社会科学院台湾研究所の彭維学所長助理も、習氏の台湾政策を「(台湾は中国の一部だとする)『一つの中国』の立場は決して揺るがないが、一方で包容力がある」と表現する。個別の選挙に一喜一憂せず、長期戦を覚悟し、硬軟両様で台湾統一を目指す構えだ。

台湾は「海洋強国」を目指す中国が太平洋に進出するルートのど真ん中に位置し、つばぜり合いを続ける米中のはざまで地政学的な重要性を増している。台湾を巡るオバマ政権の本音は2つの動きに象徴される。

「台湾海峡の平和と安定は米国の基本的な利益で、緊張緩和と関係改善の動きを歓迎する」。アーネスト米大統領報道官は昨年11月、中台首脳会談が固まった直後の記者会見でこう表明した。

そのわずか1カ月半後。オバマ政権は「台湾が十分な自衛能力を維持することを支援する」(アーネスト報道官)として、4年ぶりとなる台湾への武器売却を決めた。

台湾が求めていた「F16C/D」戦闘機など新型の軍用機や兵器は見送るなど中国への一定の配慮を見せながらも、総統選前の武器売却を決めた米国。中台融和を評価するものの、統一は支持しておらず、「現状維持」を望んでいる。

限られる選択

蔡氏は18日、台北市内の民進党本部を訪れた米国のバーンズ前国務副長官と会談した。「オバマ政権の特使」(台湾紙)とされるバーンズ氏に、蔡氏は「米国とは緊密な友好関係を維持したい」「地域の平和と安定を維持する責任を果たす」と強調した。中台関係が念頭にあるのは明らかだ。

蔡次期政権が中国と対立すれば、台湾海峡は再び緊張し、東アジアの安全保障体制にも大きな影響が及ぶ。「現状維持」を打ち出した蔡氏が、米中のはざまで選択できる道は限られている。



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