習近平の支配 独善の罠(3) 経済の論理軽視国有企業党の手足とな れ 2017/1/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「独善の罠(3)経済の論理軽視国有企業党の手足となれ 」です。





 第8章 第155条。「取締役会や経営会議が重大な決定や人事を決める際、社内の共産党委員会は、党としての意見や提案を経営側に提出する権利を持つ」

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董明珠氏(左)は珠海格力集団の董事長を突如解任された

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保有資産1800兆円

 トヨタ自動車の中国事業の有力パートナーである中国の大手自動車メーカー、中国第一汽車集団(吉林省)。同社は昨年4月、突如、会社の定款を変更し、こんな条文を付け加えた。

 共産党委員会(党委)とは、多くの中国企業の社内にある党組織のこと。本来、党員資格を持つ従業員の支援などが目的で、経営には関与しない。第一汽車はそんな建前をかなぐり捨て、党委が経営や人事に口出しする権利を明文化した。

 似たような動きは第一汽車だけでなく、中国の国有企業に広がる。党の関与を企業が率先して受け入れる不気味さ。それが問題視されないのはなぜか。その答えは昨年末、支配する側の発言として飛び出した。

 「国有企業の経営に対し、党の指導を強化する」。発言の主は、国有企業を管理する国有資産監督管理委員会の研究部門首脳、楚序平(56)。楚はさらに、経営トップの董事長と党委トップの書記について「同一人物が務めるよう全面的に見直す」と続けた。

 国有企業に対し、実態から表向きまで党と一体であることを迫るに等しい内容だ。楚の言葉には、国家主席、習近平(63)の対米戦略が込められている。

 過去10年ほど、国有企業は党全体の意向よりも特定の党幹部の顔色をうかがい、「私物化」「腐敗」が目立った。約16万社、保有資産1800兆円を抱える国有企業の力は絶大だ。習は党の力で国有企業を束ね直し、中国が並び立つことを夢見る米国との総力戦に挑む青写真を描く。

投資先は160カ国

 中国からの海外投資は2016年に世界160カ国、7千社におよび、前年比5割増の1600億ドル(約19兆円)超に上った。企業だけでなく、ギリシャや中東、インド洋の要衝などの港湾権益にも触手を伸ばす。主役は党の手足となることを誓った国有大手だ。

 手足になることを拒めば、厳しい罰が待ち構える。

 16年10月、珠海格力電器(広東省)を世界大手のエアコンメーカーに育て上げたカリスマ女性経営者、董明珠(62)が親会社の国有企業、珠海格力集団の董事長を解任された。党の意にそわぬ買収を進め、国資委の不興を買ったためだ。

 「私のような若手のパスポートまで取り上げられ、取引先とのゴルフや食事も一切できなくなった」。広東省の金属系国有企業に勤める男性社員(36)はこう語る。習体制の発足以降、党支配による締め付けは末端にまでおよんでいる。

 「勝手は許さない。(党の)思想を企業の奥深くにねじ込む必要がある」。習は大国となる夢を免罪符に、企業に対して党の言いなりになれという。経済の論理や企業の自主性を軽んじ、党支配を何よりも優先する独善は、中国経済の未来をむしばむ。

(敬称略)

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