脊髄損傷に再生医療 ニプロ、18年にも幹細胞で 2017/8/5 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「脊髄損傷に再生医療 ニプロ、18年にも幹細胞で」です。





 医療機器大手のニプロは神経や軟骨に変化する幹細胞を使った脊髄の再生医療を2018年にも実現する。患者の骨髄から取り出して増やした幹細胞を体内に戻す治療の試験にこのほど成功、今秋にも厚生労働省に再生医療製品として申請する。これまで損傷した脊髄を治す方法はなかったが、再生医療ならある程度の回復が見込めるため、実用化が加速しそうだ。

 ニプロは札幌医科大学(札幌市)と14年から共同で研究してきた。幹細胞は体内の傷ついた場所に集まる性質がある。体内に戻した幹細胞は脊髄の損傷した部分に自然と集まり、神経を再生する。その結果、脊髄損傷により歩けなくなった患者が歩けるようになると期待されている。

 交通事故やけがなどで脊髄を損傷した場合、手足のまひなど深刻な障害が残る。リハビリで一部の運動機能が戻ることもあるが、現在は治療できない。国内に約20万人の患者がいるとみられ、毎年5千人ほど増えている。今回の治療は歩けないなど比較的重症の患者が対象になりそうだ。

 ニプロの今後の課題は量産技術の確立だ。今のところ技術者が手作業で幹細胞を増やしているため、年間100人分程度しか作れないという。生産や検査を自動化する技術の開発を進めているが、人材をさらに育成できるかが焦点だ。

 同じ中枢神経系である脳の疾患への応用も検討する。既に脳梗塞の患者で臨床試験を進めている。

 傷ついた神経を再生医療で治療する動きは国内外で活発になっている。慶応義塾大学の岡野栄之教授と中村雅也教授らは、18年前半にもiPS細胞を使った脊髄の治療で臨床研究を始める。バイオベンチャーのサンバイオ(東京・中央)は16年から米国で脳梗塞治療の臨床試験を大日本住友製薬と共同で進めている。

 ニプロの17年3月期の連結売上高は3596億円で、人工透析治療に使う人工腎臓や後発医薬品が主力だ。再生医療の関連ビジネスを新たな収益の柱に育てる。

 ▼幹細胞 幹から枝や葉に分かれるように、さまざまな組織になる能力を持つ細胞。これまで根本的な治療法がなかった臓器や組織の再生医療の切り札として期待がかかる。大きく分けて人の体に広く存在する体性幹細胞、受精卵から作られる胚性幹細胞(ES細胞)、皮膚などの細胞から人為的に作るiPS細胞の3種類がある。



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