若者の蔡政権離れ進む 2018/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「若者の蔡政権離れ進む」です。





【台北=伊原健作】台湾で、民主進歩党(民進党)の蔡英文政権発足の原動力となった若者の支持が離れている。中国の圧力で承認国が減るなど閉塞感が強まっているためだ。親中路線の国民党前政権の打倒では民進党と連携した若者政党「時代力量」の黄国昌主席(44)は、蔡政権と今後の選挙で協力できないと明言。結束の乱れは政治全体を不安定にし、統一を目指す中国に揺さぶられやすくなる。

(画像:会見に応じる台湾の若者政党「時代力量」の黄氏)

台湾誌「天下雑誌」が今年掲載した民意調査で、蔡総統の支持率(満足度)は23.8%と低迷した。世代別では支持基盤だったはずの20代と30代の若年層が19~20%と全体平均を下回った。

2016年の総統選で蔡氏は圧勝した。得票率は56%と、2位の国民党候補を約25ポイント引き離した。国民党の馬英九・前政権が急速な対中融和を進めた結果、中国に取り込まれまいとする危機感を募らせた若者が蔡氏を押し上げていた。

ここに来て若者が離反した背景は、中国の圧力に対して打つ手がない蔡政権への不満だ。中国は中国大陸と台湾が一つの国に属するという「一つの中国」原則を受け入れない蔡政権に圧力を強めてきた。蔡政権は穏健な「現状維持」を目指したが、約2年で中米パナマなど4カ国の外交関係を奪われ、台湾を国と認めるのは18カ国まで減った。

内政では蔡政権が既得権層に配慮しながら進める改革への反発がある。労働規制や年金改革で当初案から後退したのが、若者には妥協的と映る。

若者政党「時代力量」の黄主席は日本経済新聞の取材に応じて「多くの若者を投票所に呼ぶのは難しくなる」と蔡政権に対する不満を示した。若者重視で抜本的な改革に乗り出さない限り「(選挙などで)協力しない」と言明した。

蔡氏は「改革の速度や幅が若者をやや失望させたことを認める」と発言。20年の総統選の前哨戦となる今年11月の統一地方選に向け、若者の支持回復を最重要課題に掲げて巻き返しを急ぐ。

「時代力量」は親中路線を維持する国民党の退潮ぶりの深刻さを見極めて、「第三極」としてより存在感を発揮するために、蔡政権と距離を置いた側面もある。そうした状況は、中国にとっては台湾を揺さぶりやすいともいえる。

政治大学の17年の調査では、自らを「台湾人かつ中国人」と認識する比率が約37%と3年間で5ポイント近く上昇。「台湾人」だけの比率は約55%と5ポイント強低下した。黄氏は「自らを『台湾人』と認識していても、将来への自信喪失が『中国人』でもあるという選択肢を選ばせる」と指摘した。



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