英EU離脱論、若者はどう動くか 2016/04/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「英EU離脱論、若者はどう動くか」です。





 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う6月23日の国民投票を前に、先行き不透明感が漂っている。各種の世論調査では依然、接戦で投票結果の予測は難しい。フィナンシャル・タイムズ紙の最新調査でも、残留支持が離脱支持をわずかに3ポイント上回っただけだ。ネットに比べ電話調査では残留支持が多いなど、調査方法も大きく影響しているようだ。

 ただ、年齢が上がるほど離脱に賛成で、若者ほど残留派が多いこともわかってきた。調査会社ユーガブによると、18~29歳の回答者の63%が残留を支持し、60歳以上の56%が離脱を望んでいる。実際に投票に行く高齢者は若者より多いだろうから、離脱論が勢い付くかもしれない。

 英国では近年、住宅価格の高騰や賃金低迷の割を食っているのは若者と考えられている。EUから離脱すれば若者はずっとその悪影響を受けるので、新たな世代間格差につながるという見方もある。

 世代による考え方の違いは2014年、英国からの独立を巡るスコットランドの住民投票でも見られた。現地の若者は当時、高齢者より独立支持が多かった。だが英国とは大きな違いがある。スコットランドではそう遠くない将来、再び住民投票が行われ、若者が改めて独立を選べるかもしれないが、英国が今回、離脱を選んでも、再投票で結果が覆る可能性は非常に低いということだ。

 キャメロン政権はなぜか若者票獲得に熱心でない。スコットランドでは16~18歳の若者に投票権を与えた。英国ではそうした措置はない。国民投票が多数の若者の集まるロックフェスティバルの期間中に行われることも、残留票の減少につながるのではと心配する声がある。

 世代で考え方が異なる理由ははっきりしない。若者は国家主権の議論に関心がないのか。移民や国境警備の問題ではEUにとどまる方が安心だと感じているのか。域内での自由な移動や就業を重視しているのかもしれない。英国の離脱はこうした機会を著しく狭め、欧州大陸で働くのにビザが必要だった時代に逆戻りさせるだろう。これは若者と高齢者のどちらにも影響するはずだ。

(4日付社説)



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