衝撃 パナマ文書 ロシア政権 透ける動揺 プーチン大統領「米の陰謀」 議会選控え 世論気がかり 2016/04/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「衝撃 パナマ文書 ロシア政権 透ける動揺 プーチン大統領「米の陰謀」 議会選控え 世論気がかり」です。





 【モスクワ=古川英治】タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴いた「パナマ文書」が世界に波紋を広げるなか、ロシアの反応の異質さが際立っている。プーチン大統領の周辺で20億ドル規模の不透明な取引が指摘されたことに対し、「ロシアの不安定化を狙う米国の陰謀」と主張、国民からも抗議の声は上がっていない。政権の言い分にはちぐはぐさも目立ち、動揺も透けて見える。

「国民対話」で質問に答えるプーチン大統領(14日)=AP

 プーチン氏がテレビで数時間にわたり国民からの質問に答えた14日の「国民対話」で失態を犯した。パナマ文書を最初に入手した南ドイツ新聞が米金融機関ゴールドマン・サックスの資本の傘下にあるとの誤った情報を示し、「米国の陰謀」を印象付けようとした。翌日、ペスコフ大統領報道官が誤りを認め謝罪した。

 「新たなメディアのでっち上げが近く報道される」。ペスコフ氏は世界のメディアがパナマ文書を報じる1週間前にこう発言していた。政権が文書の内容を察知し、対応策を準備していたことがうかがえる。報道直後から陰謀論を展開した。

 パナマ文書により、米国の同盟国である英国のキャメロン首相らが批判にさらされるなど「ロシアの不安定化が狙い」との主張は説得力を失った。プーチン氏は14日、「文書の情報には信頼性がある」とこれまでの発言を修正。文書が名指しした友人のチェロ奏者について「財産の大半を楽器の購入に使った」などと長々擁護した。

 政権統制下の主要テレビはパナマ文書の内容を報じず、国民の反応は冷めている。ロシア紙によるとプーチン氏の弾劾を求めて議会前で抗議した市民は2人だけですぐに治安当局に拘束された。

 ネット上でも目立つのは冗談だ。「パナマ文書を巡る当局の会議の議題。なぜたったの20億ドルなのか、残りはどこだ?」「息子にチェロを習わせるべきだった」

 独立系世論調査機関レバダセンターの2月の世論調査では、6割が政府幹部の多くが腐敗していると考えている。ネットの書き込みは汚職に対してしらけた社会の空気を映し出している。

 「(首相が辞任に追い込まれたアイスランドの首都)レイキャビクのようにモスクワでも市民が街頭に出れば何かが変わるだろう。しかし、ロシア人は台所やネットで話すだけ」「ロシア人は誰もが盗みを働く現状に慣れてしまっている」

 それでも政権が神経質になるのは、9月に議会選を控え、原油安の影響で不況が深まっているからだ。14年にウクライナ領クリミア半島を武力で自国に編入して押し上げたプーチン氏の支持率は8割を維持するものの、政府支持率は5割程度にまで低下している。

 議会選の不正をきっかけにモスクワで数十万人規模に膨らんだ11~12年の反プーチン運動の根底には腐敗への怒りがあった。米国を敵に仕立てることでいつまでも国民の不満をそらせるとは限らない。



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