観光立国と地域の活性化(4)「地産地消」ではなく「地消地産」北海 道大学観光学高等研究センター客員教授 山田桂一郎 2017/9/26 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「観光立国と地域の活性化(4)「地産地消」ではなく「地消地産」北海道大学観光学高等研究センター客員教授 山田桂一郎」です。





 地域経済を活性化するには、域内調達率を高めて波及効果を生むことが不可欠で、その手段として地元企業の利用や地元食材の購入などがあります。ここでカギとなるのが「地消地産」です。これは「旅行者が切望する高付加価値の商品を地域内で生産・販売する」という考え方です。旅行の目的地として選ばれるためには、当地でなければ入手できない、体験できない商品やサービスが必要です。

 これに対して「地産地消」は基本的に「地元で生産したものを地元で消費する」という考え方です。地域振興としては重要なことですが、最近は「余ったものや外部で売れなかったものを地元で何とか消費してもらう」という傾向が強くなってしまいました。

 売れない地産地消には主に2つの問題があります。余剰品や外部での売れ残り品の提供では、低価格になって肝心の利益が増えないことと、旅行者を引き付ける魅力に乏しいことです。一般的に遠方からの旅行者ほど旅先での消費額は増えますが、地元産であったとしてもどこにでもある商品ならば、旅行者は低価格品の購入に走ります。これでは高い収益は望めません。

 一方、「地消地産」とは地域の良い素材に手間をかけて価値の高い商品に仕上げ、「その地域でなくてはならない価値ある商品」にすることです。高品質を維持するためにも高い単価を設定する必要があります。

 そもそも地元の素材や事業者を利用しないのは、他の地域から仕入れた方が安く、そうしないと利益が確保できないからです。「地消地産」によって単価を上げて利幅が広がれば、地元の事業者や良い素材を利用し、地元の人を雇うことが可能になります。そうした事業者や労働者が地域内で消費すれば、お金の循環が生まれます。その地域ならではの高付加価値化で単価を引き上げ、需要を生み出すことが売上高と利益の増加につながるのです。

 もちろん、ただ高額な商品を作るだけでは売れないでしょう。そこで重要になるのが、「顧客が本当に欲しいコトやモノ」を、「顧客とのコミュニケーションの中で一緒に作り出していく」というマーケティングの実践です。



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