観光立国と地域の活性化(5)ハイエンド層の獲得カギ北海道大学観光 学高等研究センター客員教授 山田桂一郎 2017/9/27 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「観光立国と地域の活性化(5)ハイエンド層の獲得カギ北海道大学観光学高等研究センター客員教授 山田桂一郎」です。





 今回はどのようにして地域の市場規模を拡大していくかを説明します。まず底辺の長さが数量で、高さが価格の三角形を想像してみましょう。面積が地域全体の消費額となり、面積を増やすことが地域経済の活性化になります。これまで日本では「安い物を大量に売る」、つまり頂点の高さを変えずに底辺を横に広げることばかりに熱心でした。

 しかし、頂点を引き上げられれば、シャワー効果で裾野も広がり、市場が階層化することで事業者のすみ分けも可能になります。高付加価値化によって、その地域で可能な限り客単価を引き上げ、ハイエンド層の顧客を獲得することが市場拡大には有効なのです。

 これは一店舗にもあてはまります。例えばレストランで料理を一品一価格から「松、竹、梅」などと多層化することで客単価を引き上げられれば、収益増の可能性が高まります。食材によりコストをかけられるようになれば料理人の技能を生かせますし、価値がわかる顧客の増加はスタッフ意欲やお店の質的向上につながります。このように事業者単位でも地域全体でも、客単価の上限の引き上げは好循環をもたらします。

 2007年に北海道で筆者も協力して「1万円ランチ」が実現しました。北海道の食の多くが「素材の良さ、量の多さ、安さ」を売り物とする状況を打破するために企画したものです。道内の五つのレストランが毎日数量限定で提供したこともあり、すぐに先々まで予約で埋まっただけでなく、予約できなかった客も既存メニューの高額料理を積極的に選ぶ傾向がありました。「1万円のランチを提供する店なら他の料理もおいしいはず」とシャワー効果が発揮されたのです。

 当時他の店でも、1万円は難しくても、少しでも客単価を引き上げ、商品の多様な階層化による他店とのすみ分けに取り組んでいれば、地域経済への効果はもっと高まったでしょう。

 また観光客向けの商品・サービスだとしても、地元の住民に支持されているかどうかはとても重要です。地元で食べられていないB級グルメのように、地元で人気がなければ、わざわざ外部から食べにきてくれるはずがないからです。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です