謎×経済ナゾノミクス(5)GDP「ほどほど成長」は悪い?背伸びこそ 社会の活力 2017/5/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「謎×経済ナゾノミクス(5)GDP「ほどほど成長」は悪い?背伸びこそ社会の活力」です。





 4月23日、高級商業施設「GINZA SIX」が開業して最初の週末を迎えた。ジミーチュウやマノロブラニクなど有名ブランドの前はどこも行列だ。しかし、訪れた27歳の女性はこう話した。「買い物はしない。私には、いつもの百貨店にあるもので十分」

 「1番が節約、2番が貯蓄。海外旅行やテレビ、車を買うとは誰も言わない」。日本経済団体連合会の榊原定征会長は最近の若者について嘆く。ただ、「ほどほど」が悪いわけではない。かつて日本が大きく成長した時代は公害などの問題が起きた歴史もある。

高い政府目標

 それでも政府は毎年のように「成長戦略」をまとめる。2016年の戦略では「戦後最大となる名目国内総生産(GDP)600兆円の実現を目指す」と宣言した。16年の名目GDPは537兆円。目標の20年まで毎年3%ずつ成長する計算だ。

 政府が高い目標を掲げるのは、低成長では満足いく暮らしができない人が出ると考えるためだ。例えば1989年まで20%以下だった非正規雇用の割合は16年には37.5%に上昇。景気の先行きに不安を覚えた企業が正社員の採用を控えた。一般に非正規は正社員より給料が少ない。

 給料が増えないと財布のヒモが固くなる。家計が消費に使った金額は1994年に前年より減り、足元もマイナス傾向だ。消費停滞は企業の業績悪化にもつながる。

 1960年代の高度経済成長期は消費・生産者が増える「人口ボーナス」が成長の原動力だった。ところが08年に人口減少が始まり、いまは少子高齢化が経済の足を引っ張る「人口オーナス(重荷)」。一人ひとりが現状維持では国全体で縮んでしまう。

期待が投資呼ぶ

 企業にとって「魅力ある国」かどうかも大切だ。アジアでは年7%近く成長している中国だけでなく、東南アジアの各国も年5%程度成長している。これから新たな投資をする企業の視線は、成長が期待できる国に向く。投資が集まらなければ働く場が生まれず、「ほどほど」を保つことすら難しくなる。

 これからの日本はどうすれば成長できるのか。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「歴史をひもとくと、新産業が生まれた時代に経済は大きく上向いた。成熟した日本でも技術革新を進め、海外で売れるコンテンツを育てられれば、まだ成長できる」と話す。

 国内だけを見ると成長は難しく、それほど成長しなくてもいいと思えるかもしれない。一方で企業や研究者の戦う舞台は海外に広がっている。背伸びこそ社会の活力。日本経済も成長を軸に見れば、ナゾを解く方法が見えてくる。

(石橋茉莉)

=おわり



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