謎×経済 ナゾノミクス(2)財政、病院に行く私が悪い?気軽な 通院、皆の負担に 2017/5/3 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「謎×経済 ナゾノミクス(2)財政、病院に行く私が悪い?気軽な通院、皆の負担に」です。





 千葉県に住む北村優子さん(仮名、24)は花粉症の薬を病院で処方してもらう。市販薬を買うよりも安いからだ。アレルギー症状を抑える「アレジオン(錠)20」の場合、ドラッグストアで買うと1錠あたり165円ほどだが、病院だと1錠で36円。診察にかかる初診料などを含めても月3000円以下とかなりお得だ。

 体調がすぐれなければ、病院に行く。こんな当たり前のことが日本で問題になっている。お金がかかりすぎているからだ。花粉症の薬を病院でもらう方が市販薬より安いのは料金の払い方に違いがあるため。病院が安売りしているわけではない。

窓口負担は3割

 病院の診察料や薬代のうち患者が窓口で払うのは原則として全体の3割で、70歳を過ぎた所得が少ない高齢者はさらに軽減される。残りは健康保険料や、国や自治体の補助でまかなわれている。厚生労働省によると、2014年度の日本国民の医療費は約41兆円。そのうち患者が直接負担したのは約5兆円で、12%にすぎない。

 健康保険料は健康な時から企業と個人が払っている。国や地方の補助も、その裏付けは税金だ。窓口で払っていないからといって、負担していないわけではない。医師の診察にもお金がかかる。ドラッグストアより病院のほうが安いというわけではない。

 国は医療制度を維持するため、17年度の予算では11.8兆円を計上した。国の予算は税収だけではまかないきれず、借金にあたる国債を発行して手当てしている。国と地方を合わせた借金は17年度末で1093兆円と先進国で最悪の水準となる見通し。高齢者が増えていくため、医療費はさらに膨らむ可能性が高い。

上がる保険料率

 政府は14年4月に消費税を5%から8%に引き上げた。19年10月には、さらに10%へ引き上げる予定だ。増税分はすべて医療や介護など社会保障費に充てるが、それでも足りないといわれている。誰もが加入する健康保険の料率も14年までの5年間で平均2~3%程度上がった。

 日本総合研究所の飛田英子主任研究員は「医療については誰もがコスト意識を持つ必要がある」と指摘する。

 政府は処方薬と同じ成分の市販薬の使用を促すため、17年1月から新しい制度を設けた。医療用から転用された市販薬の購入費用について、税金の控除を受けられる仕組みだ。薬をもらうために病院に行く人を少しでも減らす狙いがある。

 昨年10月、自民党の小泉進次郎衆院議員ら若手議員は提言をまとめ、「小さなリスクは自分で対応すべきで、公的保険の範囲を見直すべきだ」と主張した。「気軽に行ける」ことが、将来の負担につながるのが今の財政状況。見直しが欠かせない。

(吉田悟巳)



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