財政再建が困難な理由 2018/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「財政再建が困難な理由」です。





政府は今年の骨太方針で、民主党政権以来掲げてきた「基礎的財政収支の2020年度黒字化」という財政健全化目標の旗を降ろした。「経済再生なくして財政健全化なし」として達成時期を5年延ばしたのだ。

橋本(龍太郎)政権の財政構造改革から20年。公的債務は社会保障費の急増を主因に大きく膨らんだ。にもかかわらず、政府の財政再建への姿勢はむしろ後退している。「増税では選挙に勝てない」という政治の論理が岩盤となっているからだ。

わたしたち国民は、いまある現実や目先の利益にとらわれ過ぎる傾向があるのではないか。公的債務は将来世代への負担の先送りを意味するが、そこまで視野に入らないのだ。このことは、日本だけではなく利己主義がまん延する現在の世界に共通する傾向のようにみえる。

人類が他人を自分のように大切に感じることができるのは、大脳皮質の性格上、150人程度だという説がある。せいぜい年賀状を交換する範囲くらいなわけだ。将来世代は仲間の範囲に入りにくい。日本の公的債務の大きさが先進国では突出していると耳にしても、自分の生活に直接の支障を感じないということであれば、それは他人の話なのだ。

人口減少問題への反応も同様だ。人口が減ることは四半世紀も前から分かっていたのに、切実な政策課題として認知されたのは人手不足が現実に表れたここ数年のことだ。それまでは他人事だったのである。

財政再建が進まないもうひとつの大きな理由は、自民党中枢に根強く残る「成長信仰」だ。それは骨太方針にも明確に表現されている。だが、景気拡大はすでに6年目に入っているのに財政は好転していない。労働力人口の減少で潜在成長率がせいぜい1%という現在の成長構造では、マクロ政策で成長率を引き上げるには限界があるのだ。

どうすべきか。何より財政問題を国民の「自分事」にしなければ始まらない。それにはまず、あるべき社会保障体制の姿を明らかにしたうえで、社会保障費の増加に歯止めをかけることが不可欠だ。財政再建の構図が明確になれば消費需要も投資需要も喚起され、成長力が高まるはずだ。

「財政再建なくして成長なし」なのだ。

(一直)



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