財政規律 未来からの警鐘(2) インフラ維持ずしり「第 2の社会保障費」防げ 2017/11/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「財政規律 未来からの警鐘(2) インフラ維持ずしり「第2の社会保障費」防げ」です。





 203X年。人口100人に満たない東北のある農村で、恒例の年度末の道路工事が始まった。高齢の建設作業者の動きはおしなべて鈍い。過疎化が進んだ地域では若者が村を去り、半分以上が空き家だ。先日90歳の誕生日を迎えた女性は作業を遠目にしながらつぶやいた。「誰も車で通らない道なのに、なぜ工事を毎年続けるのかしら」――。

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 日本の公共投資が曲がり角を迎えている。国土交通省の試算では、道路や港湾などのインフラ維持費は33年度に最大5.5兆円に上る。13年度に比べ2兆円ほど増える。東洋大学の根本祐二教授は「今後50年で約450兆円のインフラ更新予算がいる」という。日本の財政の根幹を揺るがしかねない重い負担だ。

 戦後の日本は国土の開発を拡張し続けてきた。バブル経済が崩壊し、日本がデフレに入った後も公共投資は景気対策の主軸として膨らんだ。公共事業予算は1998年度のピークで15兆円。道路や橋になりふり構わずお金を投じた。

 公共投資にメスを入れた時期もあった。06年、当時の小泉政権は公共投資を5年にわたり3%削る方針を掲げた。当時の竹中平蔵総務相は「ムダな公共事業はどうして出るのか。予測が過大で、後から不要になる」と指摘。人口変化を踏まえた見直しを求めた。

 縮む日本の姿とは逆行し、公共投資は一段と膨らむ気配がある。18年度予算の概算要求額は前の年度比16%増の6兆円超。被害の大きい自然災害が相次ぎ、防災や減災の対策費を増やす。前例踏襲型の予算を続けると、インフラの維持補修はどんどん積み重なる。

 「今やっていることでも捨てることもある」。国交省の若手官僚による政策提言会。30年に向け、こんな意見が出た。公共投資を主管する役所も将来への不安に覆われている。30代の男性官僚は「公共投資を増え続ける『第2の社会保障費』にしてはいけない」と語る。国土の未来図を視野に入れ、予算をうまく再配分する必要がある。

(馬場燃、石橋茉莉)



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