買い戻されない主力株 景気・米利上げ、個人も売り 証券部 松崎雄典 2015/08/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合1面にある「買い戻されない主力株 景気・米利上げ、個人も売り 証券部 松崎雄典」です。





 米港湾ストライキやギリシャの国民投票。今年も様々なショックで日経平均株価が大幅安になる局面は何度もあった。だが、21日の市場の雰囲気は少し違う。先高観に満ちた「絶好の買いのチャンス」との声がめっきりと減り、主力株に下値で買いが入らない。世界景気不安と迫る米利上げが海外投資家だけでなく、逆張りで知られる個人の動きまで鈍らせている。

 「下げ方が危険だと感じて、ここ2週間ほど売ってきました。中国の変調がきっかけです」。21日の取引を終えた横浜市在住の個人投資家、夕凪氏(ハンドルネーム)は、一時は信用取引で運用資産の150%まで膨らませた投資額を50%まで減らしていた。

 夕凪氏は株価指数の銘柄入れ替えなどの「イベント」を投資機会とする投資家だが、アベノミクス相場では内需株などを長期保有するスタイルに転じて利益を増やしてきた。それが、相場の転機を感じて「上値を追う投資からイベント投資に戻った」と話す。

 個人は下げ局面で買い向かう「逆張り」の傾向が強く、日本株の下値を支えてきた。21日もレバレッジ(てこ)型の上場投資信託(ETF)や銀行株に押し目買いを入れるなど買い意欲はなお旺盛だ。ただ、「電子部品など景気敏感株では追い証(追加担保の差し入れ義務)の発生もあり様子が違う」(野村証券の佐藤雅彦エクイティ・マーケットアナリスト)という。

 例えば村田製作所の株価は7月に付けた高値から25%下げた。買い向かった個人の多くは含み損を抱えたことになる。21日は2%安となり、松井証券の店内でも売り越しだった。3%安となったトヨタ自動車株も海外の景気不安から買いが入りにくく、最近は日経平均の値動きを下回って推移する。個人の逆張りにも変調が見え始めている。

 海外勢はさらにリスクに敏感だ。企業統治改革や好業績に期待して日本株を買い増してきたが、その勢いが鈍ってきた。主力株の値動きがそれを示す。

 「東証株価指数(TOPIX)100」は時価総額の大きい銘柄で構成する指数だ。相場の急落時には海外勢や年金が主力株の下値を拾うため、日経平均より下落率が小さくなることが多かった。ところが中国への不安が高まった7月以降は日経平均より下落率が大きい。相場下落を先導しているのは主力株になる。

 21日のTOPIX100の下落率も3.05%と、2.98%の日経平均より大きかった。三井住友フィナンシャルグループが5%安、東海旅客鉄道が4%安になるなど主力株の下げがきつくなっている。

 中国の景気がどこまで悪いのか公的な統計からは測りにくく、投資家のリスク許容度を低下させている。そして米利上げの行方も見えにくくなってきた。「米連邦準備理事会(FRB)は9月に利上げする可能性があるが、自らの利上げが新興国景気を冷やす自縄自縛の状況にある」と三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは解説する。

 「相場全体が底上げされる局面は終わった。今後は個別株だ」。今週、大手証券の機関投資家向け営業担当者は社内に発破をかけた。主力株にこぞって押し目買いが入る環境ではなくなってきた。



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