踊り場のROE経営(上) 低い売上高純利益率 過大な販管費が重荷に 2016/06/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「踊り場のROE経営(上) 低い売上高純利益率 過大な販管費が重荷に」です。





 国内企業の自己資本利益率(ROE)が振るわない。2015年度は2年連続で低下した。アベノミクスで米企業並みに上昇するとの期待は失望に変わり、海外投資家の日本株売りの一因になっている。ROE改善の流れは復活するのか。

※  ※

 「ROE向上のためなら何でもやる」(幹部)。こう突き進んできたヤマトホールディングスが壁にぶつかっている。

 自己資本の増加を抑えるため、2016年3月期までの2年間、自社株買いと配当に1千億円強を充てた。同期間の純利益の1.3倍だ。それでも前期のROEは7.1%にとどまり、2年前に比べ改善は小幅だった。今期に9%という中期目標の達成は絶望的だ。

 問題はこの数年、300億円台で伸び悩む純利益にある。主力の宅配便の収益力が低下する中、自己資本を圧縮してもROEはなかなか高まらない。山内雅喜社長は「過剰な資本政策をやめ、成長投資に資金を回す」と方針を転換する。

 上場企業の15年度のROEは7.8%と、13年度の8.6%から2年連続で低下した。内部留保の拡大や円安などで自己資本が増えたのは確かだが、根底にはより構造的な問題が横たわる。

 日本のROEが低いのは販売費・一般管理費が過大なため――。SMBC日興証券は5月下旬、こんなリポートをまとめた。ROEを3要素に分ける「デュポン分析」によると、財務レバレッジと総資産回転率は米国と遜色ない。目立つのは売上高純利益率の低さだ。その要因が過大な販管費にあるという。

 人件費や広告宣伝費などの効率が下がった。アベノミクスを推進する政府の要請に応じて賃上げに動いたが、売上高の伸びが伴っていない。

 「会社を変身させる」。コニカミノルタの山名昌衛社長はこう力を込める。16年3月期のROEは6.1%と前の期比1.8ポイント低下。要因は2000年以降で最高水準に上昇した売上高販管費比率だ。主力の複合機は競争が激しく、販売促進費や周辺サービスの営業員の人件費がかさんだ。

 現行の事業モデルは限界が近いと判断、M&A(合併・買収)による多角化を急ぐ。独監視カメラ大手など、前期に発表したM&Aは過去最高の800億円に達した。

 ROEは一時的に高まっても維持するのは難しい。東証1部企業をROEの高い順に5グループに分け、10年3月期以降の推移を調べた。すると最もROEが高いグループの平均は年を追って低下し、全体の平均に収束する傾向がある。

 「高ROEを実現できるような事業には新規参入が多く、利益率が下がりやすい」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)のが一つの理由だ。加えて外部要因の変化に弱く、高収益が続かない脆弱さも浮かび上がる。

 日立製作所は14年3月期に17.5%だったROEが前期に6.1%に下がった。純利益がこの間に約6割も減ったからだ。景況悪化で海外のプラント工事が止まり、固定費がずしりと響いた。

 日興アセットマネジメントの神山直樹氏は「利益率が低い原因を突き詰め、価格支配力などを重視する経営に転換する必要がある」と話す。過当競争や重い固定費、景気に左右されやすいビジネス。こうした構造的な問題にメスを入れることが、持続的なROE向上の条件となる。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です