迫真 「トランプ救った男」の圧力 2017/4/18 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 「トランプ救った男」の圧力」です。





 桜が散りかけた4月初旬のワシントン。「桜祭り」を祝う駐米日本大使公邸のイベントに、人知れず顔をみせたのは商務長官のウィルバー・ロス(79)だった。著名投資家であるロスは、ニューヨークの日米交流団体トップを務めるなど知日派の筆頭格とされる。昨年11月の大統領選直後に開かれたトランプ(70)と首相の安倍晋三(62)の会談も、橋渡し役はロスだ。

 ロス米商務長官=30日、米商務省(共同)

 この夜のロスはおもむきが違った。対外圧力を強める米通商政策の主導役であり、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を決めたばかりか、日本には「通商協定の優先度が高い」と強硬策に傾き始めていた。

 「ロス長官が18日の日米経済対話に参加すると言っているようですが、本当ですか」。3月末、ロスが米テレビ番組で「副大統領のマイク・ペンス(57)とともに訪日する」と明かすと、日本側は慌ててワシントンの外交筋に確認に走った。日本は副総理・財務相の麻生太郎(76)とペンスによる少人数会合を求めていた。

 ロスの突然の訪日表明。背後にあるのは、トランプ政権内で表面化する縄張り争いだ。もともとトランプとの付き合いは1990年代初頭に始まり、ロスがカジノの債務軽減を手助けしたことから「トランプを借金地獄から救った男」と評される。4月6~7日の米中首脳会談では、貿易不均衡の是正策を短期で練り上げる「100日計画」で合意したと、ロスは誇った。

 一方のペンスは立ち位置が微妙になりかけている。自らは少数派ながら議会で主導権を握る共和党保守強硬派に連なるが、そのお膝元の猛烈な反対でトランプが公約する医療保険制度改革法(オバマケア)代替案は早々に頓挫した。トランプの支持率は一段と下がり、身内の説得をしくじったペンスに冷たい目が向けられた。日本政府内からは「影響力が落ちたペンスを窓口にして日米経済対話を進めても、うまくまとまらないのでは……」と不安の声が漏れる。

 「トランプ政権の最終目的は日米自由貿易協定(FTA)だ」。大統領に近い共和党関係者は明言する。日本側はロスに経済対話ではなく、経済産業相の世耕弘成(54)との会談を別枠で持ちかけ、圧力の分散を図る。麻生とペンスによる経済対話と、世耕とロスによる貿易相会談。「交渉の二重構造」だ。ホワイトハウスを舞台にした生臭いパワーゲームの余波は、日米対話も揺さぶる。(敬称略)



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