迫真 地銀 地殻変動(4)地元軽視なら意味がない 2017/6/ 3 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 地銀 地殻変動(4)地元軽視なら意味がない」です。





 東京・両国にオープンした訪日客向け宿泊施設「カオサンワールド両国」。4月上旬に開かれた開業式典の招待客に、地方銀行の関係者はいなかった。

「カオサンワールド両国」の開業式典に地銀関係者の姿はなかった

 「地域のためになることを陰ながらサポートしたい」。第一勧業信用組合理事長の新田信行(60)は式典であいさつした。同信組は都内の旅館の新設や改装用の融資実績が多い点を「カオサン」の運営会社、万両(東京・台東)に見込まれた。同じく壇上に立ったのは、地元・両国に本部を置く東京東信用金庫の役員。この2つの地元金融機関から今回の建設資金を借り入れた。万両社長の小沢弘視(45)は「町全体とのつながりを深めるため、あえて地元の金融機関から融資を受けた」と語る。

 もともとオフィスビルだったのを全面改装して宿泊施設に変えた物件。大きな銀行が手を出しにくい小口案件ではある。だが万両が両国と同じ時期に設けた大阪・天王寺の宿泊施設の建設費は三井住友銀行、りそな銀行から調達した。こちらも地銀の出番はなかった。規模でも地域密着度でも選ばれない「地銀スルー」現象が起きている。

 来年4月に近畿大阪銀行、関西アーバン銀行と経営統合を予定する神戸のみなと銀行。4月、中小・零細企業が密集する阪神地区に「地域本部」を新設した。役員が常駐、地場産業への融資を増やすねらいがある。

 みなと銀は「兵庫県の県民銀行」を掲げ、統合後も地元重視の姿勢を打ち出しているが、阪神地区のメインバンク比率は5%未満。地元の尼崎信用金庫の6分の1以下だ。みなと銀頭取の服部博明(60)は「もっと攻めてシェア拡大を」と訴える。

 顧客はシビアだ。みなと銀がメインバンクの姫路市の金属加工メーカー社長は「メガバンクのやっていることをなぞっているだけ。もっと密着型で泥臭く提案してほしい」と話す。「統合でみなと銀の融資姿勢がさらに硬直化するなら、メインの変更も検討する。評価してくれる金融機関はほかにもある」

 「地元軽視の意味ない再編なら、やらない方がいい」(金融庁幹部)。再編か地銀同士の緩やかな連携による効率化か、単独生き残りか。超低金利、人口減がのしかかるなか、どの道を選んでも、顧客がついてこなければ、いずれじり貧になるのは間違いない。

(敬称略)

 玉木淳、亀井勝司、鈴木大祐、大鐘進之祐、杉浦恵里、大沢薫、三島大地、佐藤初姫、浦崎健人が担当しました。



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