迫真 始動 Brexit(2) 英国優遇「ありえな い」 2017/4/4 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 始動 Brexit(2) 英国優遇「ありえない」」です。





 「英国はもうテーブルの向こう側だ」。離脱通知から2日たった3月31日。かつて英国領だった地中海の島国マルタで記者会見した欧州連合(EU)大統領のドナルド・トゥスク(59)は終始、険しい表情を崩さなかった。この日、EUは今後の交渉の指針案を残る27加盟国の首脳へ送った。「非加盟国は加盟国と同じ恩恵を享受できない」。全9ページにわたる非公開の文書には厳しい文言が並ぶ。

EU大統領のトゥスクは険しい表情で交渉指針を表明した(3月31日、マルタ)=ロイター

 EU側の交渉を統括する欧州委員会のミシェル・バルニエ(66)は通知の書簡が届くと即座に「準備は万全」と30人強のチームがずらりと並ぶ写真をツイッターに投稿。迎撃態勢をアピールしてみせた。バルニエは金融担当の欧州委員時代、英金融界への強硬姿勢で知られた。昨夏に首席交渉官への指名が伝わった際、英メディアは「シティーの災厄の根源」と評した。

 「今後はEUに残る4億4千万の欧州人の利益だけを考える」。欧州議会の最大会派、欧州人民民主党を率いるマンフレット・ウェーバー(44)は3月29日にこう宣言した。加盟各国政府と並んで離脱協定を承認する権限を持つ欧州議会にも強硬ムードが広がる。

 EUの礎を築いた「ローマ条約」から60年。27カ国首脳らが「EUは分断できない」と宣言した3月25日の記念式典から、わずか4日後という離脱通知のタイミングは、侮辱ととられても仕方ない。英国が成功例になれば、遠心力がさらに強まりかねない。結束が最優先のEUに歩み寄る余裕はない。

 盟主・ドイツも対決姿勢が鮮明だ。通知から一夜明けた30日、独外相のジグマール・ガブリエル(57)は連邦議会(下院)で「交渉では27カ国の市民の利益を優先する。英国優遇などありえない」と明言した。独財務相のウォルフガング・ショイブレ(74)も「(EU側の主張を)英国は学ばねばならない」と独紙のインタビューで突き放した。経済への影響を重視するドイツは融和姿勢を取ってくれる――そんな英国の期待は独りよがりに終わりそうな気配だ。

 離脱条件や離脱後の通商関係など難題の方向性が見えないまま、2019年3月29日の交渉期限に向け、時計の針は動き出してしまった。今年2月半ばの講演で、欧州委員長のジャンクロード・ユンケル(62)は交渉の見通しについて、冷ややかにこう語っている。「24カ月ですべてを達成できるとは、とても思えない」

(敬称略)



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