迫真 民泊解禁前夜(3)身構える自治体 2018/3/15 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 民泊解禁前夜(3)身構える自治体」です。





 2月28日、女性会社員(27)の遺体を切断したなどとして米国籍のバイラクタル・エフゲニー・バシリエビチ容疑者(26)が逮捕された。犯行現場は大阪市東成区の住宅街にあるマンションの一室。男がネット経由で借りた民泊の部屋だった。「こんな事件が起きるとは」。近所に住む男性は青ざめる。

綜合警備保障は民泊物件の見守りサービスを始めた

 昨年7月には福岡市でも宿泊女性を乱暴したとして家主の男が逮捕された。暴行、盗撮、薬物密輸、犯罪集団の拠点――。民泊物件が犯罪に悪用される事例が後を絶たない。多くは法的な手続きをとらないヤミ民泊だ。

 「ヤミ民泊の多くは貸主が物件におらず、匿名性も高い」。「民泊ポリス」の名称でヤミ民泊を監視するオスカー(東京・大田)の社長、中込元伸(31)は背景を解説する。宿泊者名簿がなく本人確認も不十分なケースが多いという。

 2月23日、京都市議会で1本の条例が可決された。家主が同居しない民泊物件には10分以内に駆けつけられる管理人の駐在を義務付ける。京都市では民泊がらみの騒音やゴミの苦情・相談は3千件を超える。「規制の限界に挑戦する」。市長の門川大作(67)は大手法律事務所と明け方4時まで条文を調整して議会に臨んだ。

 民泊法は名簿の管理や本人確認を義務付けたが、各地で広がる不信が独自規制の上乗せを生む。兵庫県議会も2日に条例を可決した。住居専用地域や子育て施設の周辺100メートル以内、景観地区で民泊を全面的に禁止する。観光庁が「過度な規制は不適切」と説いても、自治体は住民の声を無視できない。

 無許可営業の物件は自治体が立ち入り検査をできるようになり、罰金も引き上げられる。自治体は対策の強化に動くが、現実的には自前ですべてに対応するのは限界もある。東京都目黒区は民泊の作業もする職員を2人増やすが、「どこまで時間を割けるか」と不安げだ。

 「相談に乗ってほしい」。綜合警備保障(ALSOK)には民泊関連の問い合わせが急増している。同社は防犯カメラの設置や緊急時の警備員の駆けつけなどを提供する。「不安を和らげたい」(課長代理の松井姿圭留、42)と自治体を訪ねて需要を聞き取る。

 民泊物件の多くは健全に使われ、インバウンド(訪日外国人)の呼び込みなどで地域の活性化につながっている例もある。民泊を“迷惑施設”として退場させないための模索が続く。

(敬称略)



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