迫真 激震サウジアラビア(3)「アラムコは宝の山」 2017/11/2 2 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 激震サウジアラビア(3)「アラムコは宝の山」」です。





 サウジアラビアのムハンマド皇太子(32)が旗を振る改革プラン「ビジョン2030」の原案をつくった米コンサルティング会社マッキンゼーが、4月に中国の政府関係者に配った極秘資料がある。2018年にも内外市場での株式売却を目指す国営サウジアラムコに関する非公式の情報を盛り込み、その企業価値について説明した150ページの資料だ。

アラムコのIPOはサウジの改革の柱だ(同社の油田)=ロイター

 「アラムコは宝の山」。資料はこう結論づけている。これを読んだ中国の政府関係者は、売却予定の株式5%分を非上場のまますべて引き取ると申し出た。

 「計画は予定通り」。アラムコ社長のアミン・ナセルらサウジ関係者は新規株式公開(IPO)のスケジュールに変化はないと繰り返す。しかし、上場に伴い義務付けられる埋蔵量などの情報公開が重大な経営リスクになりかねないことから、延期や中止説がたびたび浮上している。

 アラムコのIPOはサウジの改革の柱だ。その資金を元手とする世界最大の政府系ファンド(SWF)を活用し、石油に頼らない国造りを目指す。

 「裸にされた揚げ句に失敗すれば取り返しがつかない」。一方で関係者の危機感は強い。サウジ側はアラムコの企業価値を2兆ドル(約224兆円)と見込むが、推定埋蔵量などからして実際は1兆~1兆5000億ドルではないかとの見方が市場では根強い。

 アラムコの強みは株式を公開しないことで生まれた面も多い。米エクソンモービルや英BPは投資家や環境団体から厳しい目を経営に注がれる。14年からの原油安で欧米メジャーが投資を縮小せざるを得なかったのに対し、アラムコは潤沢な資金をIT(情報技術)投資に注ぐことができた。部分的にせよ国外市場に株式を上場すれば、こうした強みを失う。

 非上場で中国の投資家や、国内にだけ株式を譲り渡す方法なら、こうした問題を回避できる。国内上場に限るなら高値を演出することも難しくないだろう。しかし、それでは国を開いて世界の投資と人材を呼び込もうという改革の本来の趣旨と反してしまう。世界が期待する方向から改革がますますそれていく恐れがある。

 「上場先に選んでもらえればありがたい」と米大統領のドナルド・トランプ(71)。名のりを上げたニューヨーク、ロンドン、香港、そして東京の誘致競争が一段と熱を帯びる。

(敬称略)



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