迫真 英国漂流(4)去る国よりEUの将来 2017/7/7 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「迫真 英国漂流(4)去る国よりEUの将来」です。





 「戦後欧州の巨人」と呼ばれたドイツ元首相、ヘルムート・コールの亡きがらを納めたひつぎは、ブルーの欧州連合(EU)旗に包まれた。1日、ストラスブールの欧州議会で営まれた初の「欧州葬」で、現首相のアンゲラ・メルケル(62)は「ヨーロッパは世代を超えたひとつの作品だ」と故人をたたえた。

「メルクロン」と呼ばれるメルケル(右)とマクロンは英国へのいらだちを隠さない=ロイター

 一つのドイツ、通貨ユーロなど「(欧州で)当たり前と思われる多くのもの」(メルケル)はコールや、病をおしてフランス大統領を務めたフランソワ・ミッテランらによる政治的営みの結晶だ。現大統領のエマニュエル・マクロン(39)は「EUは意味がないと言う人は、EUの理想を忘れてしまった人だ」と語気を強めた。英首相のテリーザ・メイ(60)は元米大統領、ビル・クリントン(70)より後ろの座席で、統合深化をたたえる弔辞を神妙に聞き入った。

 英国にはメルケルも容赦ない。6月23日、EU首脳会議で「離脱交渉より(英以外の)27カ国の将来を描く方が大切だ」と言い切った。EU離脱を決めた1年前の国民投票、与党・保守党が過半数割れに陥った6月の総選挙と、ふらついてばかりの英国に大陸欧州はいらだつ。

 パリ・セーヌ河岸に巨大な橋桁のような庁舎を構える経済・財務省。2人の閣僚を擁する仏経済の司令塔で、経済相のブルーノ・ルメール(48)は13日に迫った独仏閣僚会議の準備に追われている。両首脳の肝煎りで作った会議はテロ対策など合意しやすいテーマだけでなく、ドイツが警戒する欧州共通予算など財政の統合構想も話し合う。

 仏側責任者に就いたルメールはドイツ語を操り、過去に欧州担当相を務めた。自らの新党出身でない共和党の政策通に重責を任せるマクロンを、2倍近い年長で独財務相のウォルフガング・ショイブレ(74)は「信念のある欧州人」と評する。

 「なぜ東欧首脳の姿がないんだ」。欧州を覆うのは統合深化の高揚ばかりではない。6月29日、ベルリン。20カ国・地域(G20)首脳会議を前に独仏やイタリア、スペインの首脳が結束をアピールしたが、記者会見の場に中東欧首脳はいなかった。難民対策などEUは加盟国間でぶつかるテーマも多く抱える。

 歴史人口学者のエマニュエル・トッド(66)は「今のEUはすべてドイツ主導だ」と突き放す。そうした批判を承知の上でドイツの懐に飛び込むマクロンの視野に、英国は大きな位置を占めていない。

(敬称略)



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