閑古鳥鳴く官民ファンド 巨額資金、活用1割未満も 2017/8/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「閑古鳥鳴く官民ファンド 巨額資金、活用1割未満も 」です。





 安倍政権下で2013年以降に設立した官民ファンドが投資先探しに苦慮している。農産物の加工・販売を支援するファンドは投資枠319億円に対し、実際の投資は7月末までの4年半で59億円。総額1千億円強の大学発ベンチャーファンドも利用は1割未満だ。成長戦略で設立を競った各省庁の需要見通しは甘く、国が投じた巨額資金が無駄に眠っている。

 5月、飲食店検索大手のぐるなびの決算短信に簡潔な一文が載った。「ぐるなび6次産業化パートナーズ投資事業有限責任組合は清算結了しています」。農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)と組んだ地域ファンドのことだ。できて3年半、出資ゼロのまま解散した。

 13年1月発足のA―FIVEは農林漁業の生産者による加工・販売事業を支援するため、各地の地銀や企業とファンドをつくった。ぐるなびは「飲食店など本業の顧客と競合する」と手を引いた理由を明かすが、特殊事例ではない。群馬や大分などのファンドも実績を残さずに消え、その数は53から48に減った。

 元手は財政投融資300億円と民間出資19億円だが、投資先はどこも小粒だ。7月末までの114件を足しても59億円。なぜお金の巡りが悪いのか。

■資本を食いつぶす

 官民の思惑にズレがあるのだ。事業リスクを分離するため、生産者に別会社をつくらせ、そこにファンドが出資する仕組みにした。だが補助金に慣れた生産者の反応は薄い。平岩裕規常務は「自ら出資することに予想以上に慎重だった」と釈明する。

 A―FIVEは役職員数が50人を超し、16年度までの経費は累計40億円強。最終赤字額は同45億円に達した。このままでは資本を食いつぶすだけだ。国に資金を返すには22年度までに総額280億円の投資をこなし、存続期限の32年度末までに1.9倍のリターンを得る必要があるという。農林水産省は5月、農林漁業者に直接出資できるようルールを緩和したが、その効果はまだ見えない。

 文部科学省主導でつくった大学直営ベンチャーキャピタル(VC)にはさらに巨額の資金が眠る。原資は国費1千億円。東北、東京、京都、大阪の国立4大学に割り振ったが、7月末時点の投資実行額は合計54億円。5%しか使っていない。

 予算は13年2月に成立したが、準備に手間取り、運用開始は阪大が15年7月、東大は16年12月だ。政府は法制度で13~17年度を投資の「集中実施期間」としたが、もくろみは外れた。各大学には2号ファンド用で計450億円が残るが、集中実施期間を過ぎれば使えなくなる。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です