頂は8兆円 訪日消費、倍増への道(上) 実るか「超 オモテナシ」 2017/11/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「頂は8兆円 訪日消費、倍増への道(上) 実るか「超オモテナシ」 」です。





 訪日外国人の消費額が今年初めて4兆円を超えそうだ。中国人観光客らによる爆買いは一服したが、足元では堅調だ。政府の最終目標は2020年に今の2倍の8兆円だ。夢物語にさえ映るこの目標に向けて、現在地と課題を探った。

 11月上旬、東京・渋谷の料理教室に笑顔がはじけた。「マユコズリトルキッチン」は訪日客向けの料理教室で、オーナーの岡田真由子さんの自宅で一緒に日本食を作る。

■見え始めた天井

 この日のメインは巻きずしと豚のしょうが焼き、初めてダシからとった味噌汁に「自分で作るととてもおいしい」との声があがる。カナダから親子3人で参加したエイプリール・ヘネガーさんは、日本流のおもてなしに感心しきりだった。

 

日常生活の再現が「コト消費」につながる(東京都渋谷区のマユコズリトルキッチン)

費用は1人あたり1万1千円で、参加者は日本の料理や観光の話題で盛り上がる。人気はスシ、ギョーザ、お好み焼き。口コミ旅行サイト「トリップアドバイザー」ではおよそ500人が最高評価の5点を投じ、欧米からの予約が相次ぐ。岡田さんは料理を通じて「普通の日常生活を体験してもらいたい」と語る。

 訪日客の動向はその数も消費額も見かけのうえでは好調だ。客数は11月4日で16年の2403万人を突破した。消費も1~9月で3兆円を超え、16年の同じ時期より15%伸びた。

 ただ内実には壁と天井がちらつく。

 8割強のアジア勢のほとんどが団体客で、個人客よりお金が落ちにくいとされいずれ伸びは陰る。実際に何に使ったかも依然買い物が最も多く、「娯楽・サービス」は全体の3%どまりだ。岡田さんのような「コト消費」を喚起する取り組みは広がっていない。

■動き出す「1泊100万円」構想

 

「従来の観光では問題解決にならない」。観光庁が10月末に開いた訪日消費に関する検討会で、田村明比古長官はこのままでは目標の8兆円達成は難しいとの認識をにじませた。

 訪日消費は現在1人あたり約15万円で、目標にはさらに消費を積み上げて、20万円に引き上げないと届かない。国に妙案は乏しいが、地方には「超」がつく独自のおもてなしに動く企業もある。

 鹿児島県霧島市の温泉リゾート施設「天空の森」。JR九州の豪華周遊列車「ななつ星」が立ち寄ることでも人気を集める。東京ドーム13個分に相当する60ヘクタールの敷地にある宿泊施設は3棟しかない。料金は1泊で1人15万~25万円だ。

 オーナーの田島建夫さんは10億円弱を投じ、25年をかけて今のリゾート施設に仕立てた。昨年、海外の富裕層が3泊で400万円を使い、大自然の中でゆっくりと過ごした。

 田島さんは「地域の個性を最大限にいかし新たな観光のスタイルを打ちだす」と意気込む。来春、プライベート機による送迎や有名シェフの料理なども加えた「究極の貸し切りサービス」を始める予定だ。「1人1泊で最低100万円」の構想が動き出した。

 消費8兆円へ種はある。あとは芽吹き実るか。官と民の知恵と工夫で、金額と客層の裾野を広げなければ頂にはたどりつけない。時間はあと3年しかない。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です