風見鶏 「安倍1強」の50カ月 短命内閣と何が違うのか 編集委員 坂本英二 2017/2/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「風見鶏 「安倍1強」の50カ月 短命内閣と何が違うのか 編集委員 坂本英二」です。





 政界には長年の命題がある。求心力がある政権だから政策を実行できるのか、それとも政策を実行できるから求心力があるのか――。検証が必要ない法則もある。求心力のない政権は、政策を実行できない。

 安倍内閣は26日で発足から50カ月(4年2カ月)になった。自民党の反執行部派のベテラン議員はしきりに首をかしげる。「なんで支持率が6割もあるのか。株価だって一時期ほどの勢いはないじゃないか」

 確かに5年目に入っても堅調を通り越して好調な支持率は珍しい。一つの要因は、安倍晋三首相の迷いのない政権運営にあるように思える。

 そもそも大胆な金融緩和に頼るアベノミクスそのものが挑戦的だ。財政規律の緩みを懸念する声に対し、首相は「そんな中途半端な政策だから日本はデフレから20年も抜け出せなかったんだ」と反論してきた。

 安全保障関連法の国会審議では与党が招いた参考人ですら「集団的自衛権の行使は憲法違反だ」と言い切った。それでも首相は早期成立をゆずらなかった。

 先の訪米でのトランプ大統領との「蜜月ぶり」は国内外から疑問視する声があがった。首相は悪びれずにこう反論した。「日本としてはトランプ大統領と親密な関係をつくり、世界に示す選択肢しかない」

 民進党幹部は安倍内閣の対米姿勢を「スネ夫」「チキン」「ポチ」と口を極めて非難した。しかし首相は怒りもせずにどこ吹く風だ。強気の政権運営は危うさをはらむが、有権者の多くはとりあえず政権の仕事ぶりを評価している。

 2006~12年の自民、民主両党にまたがる短命6内閣と、12年末に発足した安倍内閣の支持率には明らかに異なる特徴がある。

 短命内閣は発足当初の高い支持率があっという間に急落した。例えば鳩山内閣は75%の支持率が6カ月で半分になり、菅、野田両内閣は5カ月で半分になった。現内閣は支持率の「半減期」が訪れないばかりか、この1年半はむしろ上昇基調にある。

衆院財務金融委で答弁する安倍首相(24日午後)

 21世紀に入って日本の政治は「停滞は悪」という性格が強まった。少子高齢化で財政悪化に拍車がかかり、手をこまぬいていると中国との経済力はどんどん開く。そうした潜在的な危機意識が、成果が乏しい政権の支持率を急落させた一因ではなかったか。

 安倍内閣は特定秘密保護法や安保関連法を成立させ、武器輸出3原則を緩和した。さらに働き方改革、テロ等準備罪(共謀罪)の新設、カジノを中心とした統合型リゾートの実現に踏み出そうとしている。

 有権者が「安倍1強」を手放しで支持しているとは思えない。だが「危うい」と叫び続ける野党は、経済も安保も外交も期待できそうな他の選択肢を提示できていない。

 首相は昨年春に続き、今年初めにも衆院解散・総選挙の可能性を探って見送った。首相周辺からは「今の民進党なら怖くないのでいつでも選挙はできる」との声が漏れた。

 自民党幹部が次期衆院選に向けて最も気にしているのは経済動向だ。次に小池百合子東京都知事が率いる地域政党の動き。民進党はなお支持率10%の政党でしかない。

 民進党は万年野党に戻るのか、それとも二大政党の一角として政権復帰を目指すのか。後者だとすれば「対案なき批判路線」のイメージを変える看板政策が少なくとも1つはいる。執行部にリスクを取る勇気がないなら、次の衆院選も残念ながら消化試合となる。



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