飲食店や観光地 SNS映えよりまずはマナー 撮影時に一 声 他の客に配慮 2017/8/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のくらし面にある「飲食店や観光地 SNS映えよりまずはマナー 撮影時に一声 他の客に配慮」です。





 スマートフォン(スマホ)の進化と交流サイト(SNS)の普及で、個人が気軽に飲食店の料理や観光スポットの写真を撮りネットに投稿することが広がっている。撮影に熱中するあまり、マナー違反も目立つようになってきた。一方、店側もセンスの良い映像が広がればPRにつながるだけに、撮影禁止に踏み切りにくい。撮ってもいいのか基準が曖昧になるなか、どんな配慮が求められるのか。

渋谷ヒカリエでは「インスタグラム」に食事の写真を投稿すると特典が得られるキャンペーンを実施(東京都渋谷区)

「渋谷 水刺斎(スランジェ)」の「インスタ映え」を意識した限定メニューの冷やし麺

 東京・四谷の日本酒専門の飲食店「鎮守の森」。酒の銘柄や料理名が並ぶメニューの中には「撮影時には一声掛ける」「他の来店客を映さない」など注意喚起の一文がついている。酒や料理を撮影する客が増えるに従い「実際に他のお客さんが映ってしまってインターネットに載せられて困ったという事例もあった」と代表の竹口敏樹さん。

 動画を撮りながら来店したり、三脚を設置して撮影したりといった行為もあるという。テーブルの上に置かれた一眼レフカメラに万が一お酒がこぼれたら、場合によっては店側が弁償しなければならないなど、心配の種は尽きない。撮影している間に料理が冷めることもあり「お酒との相性を考えた温度で料理を出しているので、温かいうちに食べてほしい」のが本音だ。

 札幌市のジンギスカンの有名店「だるま」は店内に撮影禁止のマークを張りだしている。「自身の注文したものを撮るのはいいが、他のお客の顔が入ってしまうのはNG」と基準を設けている。クレームが来たわけではないが、プライバシーへの配慮から禁止にした。

 今ではもう「ほとんどの人が写真を撮っている」状況が続くという。背景にあるのが、写真共有アプリ「インスタグラム」の浸透。個人が写真をネットに投稿し、魅力的な写真は「インスタ映え」と言われ注目を集めるようになった。サンドイッチの断面が美しい「萌え断」など様々な流行を生んでいる。

 飲食店側も、料理をうまく撮ってもらいネットで広がれば、有力なPRにつながる。撮影禁止にしている「だるま」でも、「おいしそうに撮っていただいてネットに出るのはありがたい」と思っている。日本フードアナリスト協会食空間マナー研究会顧問の蔦洋子さんは「撮影を禁止にしていたレストランでも認めるところが出てきた」と指摘する。

 実際、飲食などサービス産業では店内で「インスタ映え」する写真を撮ってもらい話題になることが、消費者向けの戦略の重要なテーマになり始めている。東京・渋谷の商業施設、渋谷ヒカリエでは31日まで「夏のヒカリエごはん」と銘打ったキャンペーンを実施中。27店舗の飲食店がSNSに映えるよう、盛りつけや色使いを工夫した限定メニューを作成。注文して写真をインスタグラムに「#ヒカリエごはん」と投稿すると飲み物1杯無料などのサービスが受けられる。

 入居する韓国料理店「渋谷 水刺斎(スランジェ)」は小玉スイカをくりぬいた冷やし麺を用意。スイカをそのまま使ったインパクトとピンク色のスープが目を引く。「写真映えに特化してメニューを開発したのは初めて。まず料理や味というのから全く逆の発想で、見た目と色彩から考えた」と統括マネージャーの南原儀一さんは語る。

 撮影前提の飲食店が登場するに従い「当たり前の行為」と捉える個人も増えているが、本来、店舗内での撮影は周囲に迷惑をかけかねない行為だ。撮影の是非の基準が曖昧になるなか、どんなことに注意すればいいのか。

 日本フードアナリスト協会の蔦さんは「撮って良いかどうか、断りを入れる」という基本の徹底を指摘する。少しでも嫌な顔をされたり、言いよどんだりされるようなら撮影を控えるべきだという。「撮影禁止」としている店内では、撮らないことが大前提だ。

 さらに「他のお客さんを映さない」「料理が冷めないうちに食べる」などを挙げる。撮影に夢中になるあまり器を割りかねない。

 またすし店や日本料理店などではカウンターに高価な木材を使っていることがある。スマホやカメラを置くと傷がつく恐れもある。「サービスを受ける立場であっても、店や他のお客さんが気持ちよく過ごせるようにする配慮が必要」(蔦さん)ということを、改めて肝に銘じておきたい。

(関優子)



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