首位ダイキンに「脱フロン」の壁 エアコン新冷媒、競争激化 2016/06/03 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業総合面にある「首位ダイキンに「脱フロン」の壁 エアコン新冷媒、競争激化」です。





 エアコン世界首位のダイキン工業に新たな壁が立ちはだかっている。フロンをはじめとする冷媒からエアコンまでを効率的に一貫生産する強みが、世界的なフロン規制の強化で薄れかねない。「脱フロン」を巡る競争でも勝ち続けられるのか。

 ダイキンが2日発表した中期計画は連結売上高を2020年度に15年度の5割増の3兆円にする強気の内容だ。大阪市の本社で記者会見した十河政則社長は「アジアなどで経営資源をさらに積極投入して圧倒的ナンバーワンを目指す」と述べた。

 新興国への積極進出や相次ぐM&A(合併・買収)で10年度に世界首位にたった。純利益は15年度まで3期連続で過去最高を更新している。「冷媒とエアコンを両方持っていることが強さだ」(十河社長)

 この体制はグローバル展開で特に効果を発揮してきた。空気を効率的に冷やし、暖める冷媒の規制は国ごとに違い、徐々に強化されている。エアコンは冷媒に合わせて配管などの設計をいちいち変える必要がある。自社で冷媒生産から手掛けている方が、新しい規制へすぐに対応しやすい。

 ダイキンはフロンの中でもオゾン層を破壊しない「代替フロン」で、温暖化影響が従来の3分の1の「HFC32」を普及させている。冷媒から一貫生産するエアコンメーカーは世界で同社だけ。国ごとに違う規制の変更に即座に対応できるのが、グローバル化で先行できた理由の一つだ。だが10~20年先を見据えると、ある懸念が浮上する。フロンの規制強化だ。

 5月に富山市で開かれた主要7カ国(G7)環境相会合では、代替フロンの生産を規制することで合意した。年末までに、30年代半ばへ向けた具体的な規制が決まる見通しだ。代替フロンの規制強化は今後も加速する可能性が高い。温暖化影響を大幅に減らした冷媒開発で主導権を握らなければ、一貫生産で他社に差を付けるダイキンの競争力に影響しかねない。

 十河社長は記者会見で「フロンを使わない新冷媒の開発を進めている」ことを明らかにした。約380億円を投じて昨年11月に研究開発拠点を開設したのはそのためでもある。単独では限界があるとみて、パナソニックと冷媒を含む「空調を軸に幅広く提携を協議している」(十河社長)。

 次世代冷媒を巡る競争は激化している。旭硝子は室内エアコン向けに温暖化影響が従来の6分の1の新冷媒を開発している。米デュポンから事業分離した米ケマーズは、温暖化影響が従来の1300分の1以下と圧倒的に少ないカーエアコン用の新冷媒を開発した。

 エアコン市場自体の競争環境も変わっている。三菱電機やパナソニックはエアコンと他の家電を連携させて、家まるごと省エネにつながる提案を強化している。専業のダイキンは、このままでは顧客を奪われかねない。あくまで素材からの一貫生産にこだわる専業メーカーの真価がこれから問われる。

(大西智也、榊原健)



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