<FT特約>インド中銀総裁が退任表明 経済改革失速の懸念 2016/06/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「<FT特約>インド中銀総裁が退任表明 経済改革失速の懸念」です。





 インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁は長い間、世界の最も優れた中銀総裁の一人と目されてきた。それだけに1期3年の任期を終え、学究生活に戻る決意をしたのは痛手としか言いようがない。モディ政権にさらに経済・金融改革を進める気があるのか疑問視する声が上がっており、気がかりだ。

 インフレ抑制に取り組む大半の中銀総裁と同様に、ラジャン氏も常に人気があったわけではない。だが、総裁の任期中に同氏が与えた影響を否定する人はほとんどいない。同氏が目を行き届かせたことで同国の経済は変貌を遂げた。

 ラジャン氏が総裁に就任した当時、インドの通貨ルピーは下落の一途をたどり、インフレは放置され、経済は停滞していた。同氏が歯止めのきかない物価上昇を抑え、金融システムを強化する政策で決断力を発揮し、投資家は大いに喜んだ。

 退任理由ははっきりしないが、同氏の断固たる独立路線がモディ政権と合わなかったことは以前から明らかだった。政府とタカ派の中銀総裁との対立は珍しくないが、ラジャン氏とモディ氏の対立は非常に激しかった。

 ラジャン氏の退任で未完のインドの改革プログラムが今後どうなるのかが懸念される。同氏の退任発表後、政府は海外からの直接投資(FDI)の規制をさらに自由化する意向を明らかにした。インドの改革は続くと伝えたいのだろう。

 こうした声明は銀行改革の今後についての臆測を鎮める効果がほとんどない。同氏は国有銀行に対し、返済困難な借り手にも容赦しないよう促してきた。銀行は評価損を計上せざるを得なくなり、国の支援による資本増強を余儀なくされるだろう。表向きは政策に変わりはないようだが、多くの人々は痛みを伴う改革に対するモディ氏のやる気を疑っている。

 臆測の対象は現在、後任人事に移っている。ジャイトリー財務相は後任を「近いうち」に発表すると約束した。投資家はこの政権を注視するだろうし、その大胆な言葉がどれほど中身を伴うものなのかも問うだろう。

(21日付、社説)

=英フィナンシャル・タイムズ特約



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