ASEAN、中国と溝深く 外相会合、南シナ海で異例の批判 2016/06/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「ASEAN、中国と溝深く 外相会合、南シナ海で異例の批判」です。





 【北京=山田周平、シンガポール=吉田渉】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の外相は14日、中国雲南省玉渓で特別会合を開いた。中国が実効支配を強める南シナ海問題が主な議題となり、複数のASEAN外相が中国の一方的な海洋進出に「深刻な懸念」を表明した。予定していた共同記者会見も取り消され、両者の溝の深さを国際社会に示す結果となった。

中国とASEANの外相特別会合(14日、中国雲南省玉渓)=共同

 特別会合は直前に開催が決まり、中国が経済協力を示してASEANの反発を和らげる狙いとみられていた。中国外務省は14日夜、議長の王毅外相がASEAN側と「南シナ海の平和と安定をともに守ることを重ねて確認した」と発表した。

 だが、会合は中国の思惑通りに進まなかったもようだ。シンガポール外務省は同日夜、「会合後の中国、ASEAN外相の共同会見は開かれなかった」と明らかにした。

 現地入りした同国国営テレビ局「チャンネル・ニュース・アジア」はASEAN側が独自に声明をまとめ、中国を非難したと報じた。AFP通信は「南シナ海の平和と安定を弱めかねず、信頼を損ねている最近の行為に深刻な懸念を表明した」と声明の内容を伝えた。

 だがASEAN外交筋の一部は「公式の声明ではない」と話した。AFP通信も一転して「声明が取り下げとなった」と同日深夜に報じた。ASEAN内部で意見集約が難航しているもようだ。

 もっとも会合で中国をけん制する発言が相次いだことは間違いない。王外相と共同議長を務めたシンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相の公式声明では「複数の外相が懸念を表明した」と明言。さらに「国連海洋法条約を含む法的で外交的な手段で解決を目指すのがシンガポールの立場だ」とした。インドネシアもルトノ外相の声明で「国際法を尊重しなければ平和と安定の達成は難しくなる」と同調した。

 両外相の声明は、フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国を訴えた国際的な仲裁の判決が近く出ることを視野に、中国に受け入れを求める内容だ。中国は「仲裁自体が無効」と裁定を無視する意向でASEANの中立国に支持を求めてきた。だが代表的な中立国のシンガポール、インドネシアが裁定支持を示唆し、戦略は揺らいでいる。

 中国は自国に近いカンボジアなどを通じASEANの世論が「反中国」に傾くのを防ぐ構え。声明を巡るASEANの混乱の背後には中国が圧力を掛けた可能性もある。だが自らの正当性ばかり主張する中国の態度に不信感を抱くASEAN加盟国も多く、亀裂の修復は容易ではなさそうだ。



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