EV大転換(上)海図なき戦いだ欧州発ドミノトヨタ走らす 2017/8/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「EV大転換(上)海図なき戦いだ欧州発ドミノトヨタ走らす」です。





 100年超続いたエンジンの時代の終わりが見えてきた。英仏政府は2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止し、中国やインドは環境規制を盾に自動車産業での下克上を狙う。トヨタ自動車とマツダは電気自動車(EV)の共同開発に向け資本提携を決めた。うねりを増すEVシフトはあらゆる産業に大転換を迫る。

欧州でEVシフトが広がってきた=ロイター

3カ月で試作車

 「EV試作1号車」。今春、トヨタはEVの投入に向けた試作車を完成させた。昨年12月に「EV事業企画室」を立ち上げ、従来の開発期間の半分となるわずか3カ月で仕上げた。

 デンソーなどトヨタグループからの出向者ら企画室の4人が社内調整を省き迅速に仕様を決定。普及を見すえ銀行や愛知県豊田市の関係者なども加えた約30人を集め開発期間を縮めた。

 「海図なき戦いだ」。マツダとの資本提携を発表した記者会見でトヨタの豊田章男社長はこう述べた。世界の2大市場、米国と中国で環境規制が強化され、英仏政府が40年までにエンジン車の販売を禁止するなど大気汚染対策の動きも世界中に広がる。「EVシフトは想定よりも早い」(トヨタ役員)。異例の開発体制は危機感の裏返しだ。

 トヨタは走行距離の長い燃料電池車(FCV)を次世代環境車の本命とする。走行時に水しか出さず「究極のエコカー」とされるFCVだが、量産が難しく水素の充填インフラも未整備。開発が容易なEVが先に普及すればトヨタのシナリオに狂いが生じる。

 トヨタを突き動かしたEVドミノ。車の技術革新をけん引してきた欧州と世界最大の中国市場の「共振」が発端だ。

 独フォルクスワーゲン(VW)から広がった排ガス不正問題でディーゼル車の信頼が失墜。パリやマドリードは25年からの乗り入れを禁じ、ほかの大都市も追随する構えを見せる。

 一方でドイツ車の「ドル箱」である中国はEV普及を国策に掲げる。ドイツ勢の変わり身は早く、VWにダイムラー、BMWの独3社は25年に販売台数の最大25%をEVなど電動車にする計画を打ち出した。「未来は間違いなくEV」。VWのマティアス・ミュラー社長は言い切る。

下克上狙う中印

 中国やインドが狙うのは参入障壁が低いEVシフトによる自国メーカーの競争力底上げだ。中国は既にEVの世界シェア3割を占め、比亜迪(BYD)など地元メーカーが市場を席巻。中国資本傘下のスウェーデンのボルボ・カーは19年から販売する全モデルの電動化を宣言した。

 従来のエンジン車の部品点数は約3万個。EVでは部品の約4割が不要になるとの試算もある。それだけに従来の「勝ち組」には痛みを伴う。トヨタは今春、EVなどの生産拡大による部品メーカーへの影響を調べ始めた。トヨタ幹部は「変革のスピードアップと影響を抑える施策の両立を考えなければ」と悩む。

 富士経済によると16年のEVの世界販売は47万台で、うち日本車は14%。まだ世界販売全体の1%にも満たないEVが、エンジン車の誕生から100年以上続いてきた自動車産業を根本から揺るがす。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です