EV大転換(下)これが持続可能な未来ださらば石油、世界も揺れる 201 7/8/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「EV大転換(下)これが持続可能な未来ださらば石油、世界も揺れる」です。





 7月上旬に横浜で開かれた太陽光発電の見本市。目玉は米テスラだった。「太陽光で作った電気を蓄電池でためて電気自動車(EV)で使う。これが持続可能な未来だ」。テスラのカート・ケルティ・シニアディレクターはこう語った。

一気通貫めざす

 テスラは2月に社名から「モーターズ」を外した。16年に太陽光発電の米ベンチャーを買収。EV用電池に加え据え置き型蓄電池にも事業を広げる。創業者、イーロン・マスク氏の狙いは発電からEVまで一気通貫のエネルギーインフラを作ることにある。なぜそこまでするのか。

 「発電時の二酸化炭素(CO2)排出量まで考えれば、エンジン車はEVとの差がなくなる」。ある国内自動車メーカー幹部はこう主張する。背景にあるのは「ウェル・トゥー・ホイール」(油井から車輪)という考え方。燃料を作る段階からトータルの環境負荷を見る発想だ。

 国立環境研究所の調査では、ガソリン車に対するEVのCO2削減率はフランスで90%。一方、中国では15%減にとどまる。フランスは原子力発電の比率が高いのに対し、中国は7割以上をCO2を多く排出する石炭火力発電に依存するためだ。

 いくらEVを増やしても、エネルギー源から変えなければ根本的な地球温暖化対策につながらない。EVシフトの先には太陽光発電など再生可能エネルギーの拡大が待ち受ける。

 多くの企業がそのことに気がつき動き始めている。

 北欧では米IBMや独シーメンスなどが連携し、風力発電による電力をEVに供給するシステムの整備が進む。日本でも一部自治体で同じような実証実験が進むが、「欧州では既に商用段階に入っている」(日本IBMの川井秀之スマートエネルギーソリューション部長)。

 石油メジャーも「変身」に動く。仏トタルは低炭素の液化天然ガス(LNG)などガスの生産量が発熱量ベースで原油を超えた。仏電池メーカーを買収し再生エネ事業の拡大にも走る。

 自動車に素材、そしてエネルギーまで産業構造を大きく変えようとしているEVへの大転換。それは世界の秩序にも影響を与える。

試される産油国

 「40年には1日に800万バレルの石油の需要が減る」。米調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスはEVシフトの影響をこう予測する。800万バレルは石油輸出国機構(OPEC)の1日の生産量の4分の1に相当する。

 世界の石油消費量の65%は自動車など輸送用が占める。発電用途は全体の4%程度。自動車用の落ち込みを補うのは難しい。

 「各国が協調して需給調整するOPECの戦略が成り立たなくなるかもしれない」。日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎中東研究センター長は指摘する。 需要減により協調が崩れれば、次世代産業にカジを切れるかどうかで産油国間の格差が広がる。不安定な中東に新たな不協和音を生みかねない。EVへの大転換は地政学に大きな影響を与える可能性もある。

 藤野逸郎、上阪欣史、榊原健、工藤正晃が担当しました。



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