FT特約 メール流出 ロシア関与か 米安保への注意喚起 2016/07/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「FT特約 メール流出 ロシア関与か 米安保への注意喚起」です。





 米大統領選で民主党候補に指名されるヒラリー・クリントン氏の選挙戦は、民主党指導部の裏工作に関する電子メールの流出で混乱に陥った。党内の分裂を深めるものだが、共和党も喜んではいられない。メール流出にロシア政府が関与していた可能性がある点を警戒すべきだ。ロシアが長い間繰り広げてきたサイバー攻撃がエスカレートしているのだ。

 ロシアはサイバー攻撃を犯罪集団などに任せる傾向があるため、真犯人を特定するのは極めて難しい。だが、サイバーセキュリティー会社が信頼できる証拠を示し、米民主党全国委員会のネットワークに侵入したハッカー集団を特定した。APT28、APT29の名でよく知られたグループだ。手口、活動時間帯、過去の標的からロシアの政府か情報機関と強いつながりがうかがえるという。彼らは過去にも米ホワイトハウスや東欧諸国政府などを標的とした。

 懸念されるのは、ロシアが入手した情報を実際の政治や経済の活動に悪用しようとしている点だ。冷戦時代の盗聴と脅迫という手法が、ソーシャルメディアと内部告発サイト「ウィキリークス」が多用される時代に新たな危険性を帯びてきた。ロシアは旧来のスパイ技術を使って偽の情報を流し、他国に混乱を引き起こして政府機関や当局への信頼を損なわせようとしている。

 ロシア政府が民主党全国委のメール流出に関与したのが事実なら、米民主主義制度の根幹に対する大胆不敵な攻撃だ。

 しかし、米政府には情報流出について抗議できる余地がほとんどない。民主党の失態が露呈されるからだ。しかもこの種の攻撃を効果的に防御するのは非常に困難だ。外交面で米国は、中国とサイバー攻撃の禁止で合意し、少なくとも効果を生んでいる。ただ、これは中国政府が実態の暴露を恐れ、商業的利益の保持を強く望んだから可能だった。ロシアのプーチン大統領には、そうした取引材料は持ち合わせていない。

 今回の情報流出は米国が大西洋の安全保障に対し、関与を弱めるときではないと注意喚起するものだといえよう。

(26日付、社説)

=英フィナンシャル・タイムズ特約



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