FT特約 過剰生産巡り米に反論 中国、統制に2つの制約 2016/06/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「」です。





 今週初め、北京で開かれた米中戦略・経済対話での「ルー・楼」対決はなかなかの見ものだった。

 対話の冒頭、ルー米財務長官は、中国の過剰な生産能力が世界の市場に「ゆがみ」を引き起こしていると批判した。今年、米欧でよく聞かれる言い分だ。これに対し、中国の政府当局者はこれまでほとんど反論らしい反論をしてこなかった。

 それが今週、ルー氏の主張に楼継偉財政相が憤然とこう問い返した。中国を批判している人たちは7年前にはどうだったのか。中国政府のインフラ投資の下でフル稼働した製鉄所が、世界経済を救ったのではなかったのかと。

 楼氏はまた、米タイム誌が2009年の「今年の人」の候補に挙げた「中国の労働者」が、最終的に僅差で当時のバーナンキ米連邦準備理事会議長の次点となったことを指摘した。

 楼氏の反論は、中国共産党幹部の経済システムの捉え方を浮き上がらせた。昨夏、そして今年1月と、中国の株式市場と通貨市場に3度の混乱が生じた後、習近平国家主席率いる中国指導部は、改革計画を全面的に掌握できなくなっているのではないかという認識が世界に広がっている。

 建前とは異なり、共産党の指揮は様々な障害にぶつかると楼氏は説明した。過剰設備の問題に関し、党と中央政府は2つの制約を受けている。民間企業が成長していることと、指示の遂行を地方政府に頼っていることだ。

 「中国は中央計画経済ではない。鉄鋼業の半数は民間企業が占め、(工場閉鎖などで)中央の指示を受けようとしない」と楼氏は語った。

 習氏と楼氏にとってより根本的な問題は、地方の党幹部には「汝(なんじ)、安定を保つべし」が最優先の戒律だということだ。この金科玉条と、失業や社会不安につながり得る再編計画がぶつかった場合、多くの地方政府が工場の存続を選ぶのも驚くにはあたらない。

 ルー氏は来年1月の米政権交代で現在のポストを去ることになろうが、さらに見ものの「一対一の米中顔合わせ」が実現するかもしれない。それは「習対トランプ」だ。(9日付)

=英フィナンシャル・タイムズ特約



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