GDP水増し、中国で横行? 遼寧省で発覚、深まる疑念 「名 実逆転」他地域も 2017/9/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「GDP水増し、中国で横行? 遼寧省で発覚、深まる疑念 「名実逆転」他地域も」です。





 【北京=原田逸策】中国の地方政府が域内総生産(GDP)を改ざんしているとの疑念が深まってきた。東北地方の遼寧省が1月に経済統計の水増しを認めると、同省の2017年1~6月のGDPは物価の変動を考慮しない名目で前年同期比20%減った。経済危機でもなければあり得ない数字で「過去のGDPは約2割かさ上げされていた」と考えるのが自然だ。中国には31の省・直轄市・自治区がある。他の地域はどうなのか調べた。

遼寧省の省都・瀋陽の商業施設は客もまばらだ

 遼寧をみると、GDP改ざんは(1)個別統計の操作による名目GDPの水増し(2)「GDPデフレーター」の操作による実質GDPのかさ上げ――という手法とみられる。

 中国のように物価が上がる国では実質GDPは名目より小さくなる。だが、名目から実質を算出する際のGDPデフレーターと呼ばれる係数をわざと低く見積もり、実質成長率を押し上げる。デフレでもないのに名目成長率が実質を下回る「名実逆転」は本来の姿とは逆だけに1つの手がかり。頻繁ならば水増しが疑われる。遼寧では名実逆転が08~17年(17年は1~6月)の過去10年間に5回も起きた。

 過去10年間の名実逆転は最多が山西、内モンゴル、黒竜江の6回。次は遼寧、天津、河北、河南の5回。鉄鋼や石炭に依存した経済なので苦しい。4回は吉林、浙江、江西、山東、陝西、甘粛、青海、新疆。共産党中央規律検査委員会は6月、内モンゴルと吉林で統計水増しの疑いを指摘。いずれも名実逆転が多い。

 逆に少ないのは、北京、福建、湖北、貴州、チベットの1回。2回は安徽、湖南、海南、雲南。開発が遅れた分、近年の経済成長がめざましい西部地域が多い。中国全体では15年の1度だけだ。

 5~6回あった7地区をみると、消費者物価はプラス基調だが、卸売物価はマイナスが目立つ。経済に占める重工業の比率が高い東北・華北はデフレ圧力が強く、名実逆転が起きやすいとはいえる。逆に経済の構造転換が進む華中・華南地域は少ない。回数ごとに色分けした地図を描くと中国経済の「南高北低」がはっきりと浮かび上がる。

 GDP水増しに手を染める1つの理由は経済成長の目標にある。中国は毎年、経済成長の目標(実質成長率)をつくる。各地方政府もつくるが、暗黙の了解がある。地方政府の目標は中央政府と同じか、上回らなければならないことだ。

 国務院発展研究センターの趙昌文氏と朱鴻鳴氏の著書「持久戦新論」によると、12~16年の成長目標で、12~14年は中央政府を下回る目標を掲げた地方政府はない。15、16年は4省、17年は2省だけが下回る目標を掲げた。しかも多くの地方政府が目標を達成した。

 本来は地方の経済成長率の加重平均が中央の成長率のはず。大半の地方が中央を上回る成長を達成していると、辻褄が合わなくなる。地方GDPの水増しや改ざんはかなり広がっているとみてよいだろう。

 中央はどうか。外国人エコノミストの多くが「デフレーターを操作し実質GDPの見栄えを良くしている」と疑う。14年7~9月期から中国の四半期の実質成長率は動いても0.1~0.2ポイント。「成長目標と実際の成長率の差が縮まってきたから」(北京の金融筋)と推測されるほか「経済の安定」を演出しているとの指摘もある。

 政府系シンクタンクの研究者は国家統計局の役人に聞いた言葉が忘れられない。「まあ、我々は所詮、上が見たいものを見せるのが仕事ですから」



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