SBIの研究(下) 地銀と店舗客層広げる法人分野の開拓課 題に 2018/3/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の金融面にある「SBIの研究(下) 地銀と店舗客層広げる法人分野の開拓課題に」です。





 「30代の方が資産運用の相談に来店された。現役層の新規のお客さんは珍しいので驚きましたよ」。昨年10月、SBI証券と組んで、地銀初となる証券会社との共同店舗の運営に乗り出した清水銀行。浜松市の同店舗で働く営業担当者の阿倍伸彦さんはこう明かす。

 清水銀の行員とSBIの金融アドバイザーの2人1組で顧客をまわる。共同店舗を通じてSBI証券で口座を開設してもらい、得た手数料は折半する仕組みだ。清水銀は運用助言のノウハウを吸収でき、扱う投資信託も100本未満から2500本超に拡大。「顧客の企業経営者らの資産運用ニーズに応えられ、事業領域の拡大につながっている」と岩山靖宏常務は語る。

 一方、SBI証券には地方の富裕層にアプローチできるメリットがあり、「地銀との共同店舗は今後、20程度に増やしたい」(高村正人社長)。投信の供給などで協力する金融仲介業で提携する地域金融機関も増えており、現時点で京葉銀行や愛媛銀行など15行にのぼる。今後30行に拡大する予定だ。

 SBIがこうした新しい試みに経営資源を割けるのは、本業であるインターネット証券が好調さを保っているからだ。

 同社の有価証券報告書によると、SBI証券の総合口座数は17年3月末までの10年間で年平均10%増加。最大手の野村(同3%の伸び)を大きく上回る。口座数は17年末に400万超と大和証券を抜き、今後4~5年で業界首位の野村証券(約530万)を逆転する可能性がある。

 SBIは99年に実施された株式売買委託手数料の自由化を受けてネット取引に参入。それ以来、手数料を業界最安水準に保って若年層を取り込んできた。顧客の年代は30~50代の現役層が7割を占める。一方、対面型の大手証券は60代後半~80代前半の高齢者層が中心で、大きな違いがある。

 18年にスタートした積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)では首位を走る。大手証券や3メガバンクなど11社合計でみた場合、シェアは3割を超え、2位以下を突き放す。税制優遇で資産運用への関心が高まり、「女性を含めた投資初心者の口座の開設が目立つ」(SBIホールディングスの北尾吉孝社長)。

 課題は収益面にある。17年4~12月期は株高が追い風になったほか、ベンチャー投資も収穫期を迎え、連結純利益は364億円と前年同期比で45%増加した。それでも純利益の規模は野村ホールディングスの約5分の1にすぎない。

 高採算の法人事業の差が大きい。時間をかけて企業と関係をつくる必要があり、SBIは新規株式公開(IPO)の幹事獲得では一定の成果が出ているものの、増資や債券の引き受けでは及ばない。次世代送金などフィンテック関連の事業や、地銀との連携をどう実際の収益につなげていくかもまだ見えない。SBIが推し進める「複合経営」の成否がはっきりしてくるのはこれからだ。

 川上穣、野村優子が担当しました。



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