2014/04/30 本日の日本経済新聞より「カリスマ目線で株探し 公開情報みて知恵拝借」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「カリスマ目線で株探し 公開情報みて知恵拝借」です。





日経新聞20140430カリスマ目線で株探し

 日本の株式市場には約3500の会社が上場している。どの銘柄を買えばいいか途方に暮れる初心者は多い。そんなときはプロの投資家たちの目利き力を拝借するのも手だ。実は、著名ファンドが投資している銘柄を簡単に知る方法がある。カリスマの技を盗むノウハウを解説する。

 米国の個人投資家の間で「グル(カリスマ)ファンド」と呼ばれる投資信託が話題だ。ヘッジファンド業界の大御所、ジョージ・ソロス氏や著名投資家のウォーレン・バフェット氏らが買った株式を探し出し同じ銘柄を組み入れる。カリスマたちの運用をまねるファンドだ。

 その一つである「グローバルXグル・インデックスETF」という上場投信(ETF)は複数のヘッジファンドを対象に保有株式を追跡しプロの間で人気がある銘柄を組み入れる。このグルETFの2012年暮れからの値動きをみると、ダウ工業株30種平均を1割強上回る上昇率だ。(図A)

1ヵ月半遅れでも

 ヘッジファンドだけでなく大手機関投資家の保有株も調べて、運用をまねる上場投信もある。カリスマの銘柄選びのレシピをどうやって手に入れるのだろうか。種明かしすると簡単だ。米国では米国株への投資が1億ドルを超える投資家は四半期に1回、保有株のリストを米証券取引委員会(SEC)に出す義務がある。この公表情報をみれば手の内が分かる。

 例えば、最近りそなホールディングスへの投資を明かして話題となった著名投資家のデイビッド・アインホーン氏。経営するヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルもSECに保有株リストを提出しており、それをみるとアップル株などを持つことが分かる。ただ、米国の上場株だけが開示対象なので日本への投資などは分からない。

 通常は四半期末から約1カ月半たった後にリストを公表する点にも要注意だ。直近の状況がすぐ分かるわけではない。それでも、カリスマ好みであれば、遅れて買ってもいい結果を得られるはずだというのが物まねファンドの発想だ。

 日本ではこうした物まねファンドはまだない。しかし、実は日本でも公開情報を使えば、米国のプロが買う意外な株を発掘できる。持ち株比率が5%を超えた銘柄について、投資家が財務局に提出する「大量保有報告書」をみればいい。俗に「5%ルール」と呼ばれる情報開示制度だ。

 報告書には保有株数や持ち株比率などが記されている。個人でもネット上の金融庁の電子開示システム「EDINET」で報告書を読める。図BがEDINETで報告書をみつける手順だ。サイトの「書類簡易検索画面」から、決められた欄にファンド名や運用会社名を入力する。上場会社名で検索すると、その会社について提出された大量保有報告書が出る。

中小型株が居並ぶ

 試しに米国の大手運用会社フィデリティ(正式名はFMR)の名前を入力して検索すると、たくさんの大量保有報告書が一覧に並ぶ。表Cにその一部を抜き出した。まず気づくのは時価総額の小さな会社が多い点だ。

 中小型株の方が5%ルールの対象になりやすいのが背景だ。例えば、同じ10億円を投資してもトヨタ自動車など大型株では5%を超えない半面、時価総額の小さい会社を買えば5%を超えやすい。違う運用会社で検索しても中小型株が出てくる例が目立つ。

 大型株でないと物足りないという人もいるだろう。しかし、中小型株の方が個人には好都合という見方もある。日本のフィデリティ投信の松井亮介ポートフォリオマネージャーは「小型株は業績に影響を与える要因が1つか2つに絞られ、個人投資家にとっても分かりやすい」と話す。

 大企業は事業内容が多岐にわたるなどし、さまざまな材料で株価が動く。一方、中小型の企業は独自のビジネスモデルや製品分野で勝負している例が多く分かりやすい。知名度が低く大型株に比べ割安に放置されている銘柄も多い。

 株式投資に詳しいファイナンシャルプランナーの福島由恵氏は「プロが保有する銘柄は専門家による吟味を経ており、個人には有益な情報だ。投信の各ファンドが公表する運用報告書で組み入れ上位銘柄をみるのも参考になる」とも話す。

 ただ、カリスマでも判断ミスはある。あくまでも個別銘柄をふるいにかける方法の一つぐらいに考えるべきだ。また、大量保有報告書などには、どこが気に入って買ったのかまでは書いていない。自分で個々の会社の魅力について勉強することが大切だ。

(編集委員 三反園哲治)

2014/04/30 本日の日本経済新聞より 「洋上風力発電に参入」

今日は、日本経済新聞12版の7面(企業)にある「洋上風力発電に参入 ソフトバンク、17年稼働 主力の太陽光補う」から、要点と所感を整理する。

ソフトバンクは洋上風力発電事業に参入する。茨城県の沖合で計画する企業へ子会社を通じて5月中に出資する。年内に建設に入り、2017年に発電を始める計画。総事業費は数百億円の見通し。ソフトバンクは再生可能エネルギー事業に力を入れるが、主力の太陽光発電所の新設に適した土地は残り少ない。風力発電も加え、再生エネ事業の拡大を続ける。

風力発電所の出力は9万キロワット。茨城県神栖市の海岸から600~1600メートル離れた沖合に、出力5000キロワットの発電機を18基設置する。日本で初めての商業用の洋上風力発電所となる見通し。総事業費は500億円を上回る可能性が高い。…

記事によると、2013年度末の風力発電の国内設備は271万5000キロワットでほぼすべてが陸上設置、これが2020年代から洋上風力へ移行し、2040年度には風力全体の5割弱が洋上になるとの予測である。また、2014年4月から再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度の対象に洋上風力発電を加えており、価格は1kwhあたり36円(税別)とのこと。

2017年に発電を始める予定のソフトバンクの風力設備から見込める採算を試算してみる。

出力90000kw(最大)につき、90000kwh×設備利用率20.6%×24時間×365日×36円となり、年あたり58.467744億円の収入となる。一方、kwhあたりの設備投資額は、50,000,000,000÷90000であるから,
55.56万円/kwhとなり、太陽光発電のバロメーターとなっている30万円/kwhよりも投資効率が悪い。そして、500億円のイニシャルコストとは別に、ランニングコストとなる洋上発電の経費、特に保守点検や漁業利権の継続的補償などの経費がどれぐらい見込まれるかである。ちなみに、設備利用率は自然エネルギー白書(風力編)2013 – 日本風力発電協会のP.7から引用した。

私見として、洋上風力発電の売電単価36円はしばらく下がるまい。丘発電と比べ、有力な投資案件との所感である。

しかし、洋上風力発電設備は現在も設備開発の状況にあり、各社は現段階で投資判断しづらい案件である。それにソフトバンクが乗り出した背景には、先行的な設備稼働事例を持つことで、各種の競争優位を得られ、それがキャッシュフローとは別の資産価値を形成するとの読みがあると考えられる。

洋上風力発電への新たな参入企業が見込めず、売電単価36円/kwhという外部環境がしばらく変わらないとすれば、投資判断は比較的簡単に行える。4月の政府の制度公表とほぼ同時にこのような事業計画を公表できるソフトバンクの企業力を感じさせる記事であった。

2014/04/28 本日の日本経済新聞より 「カジノ法案に黄信号」

今日は、日本経済新聞14版の2面(総合・政治)にある「カジノ法案に黄信号 公明が慎重 今国会成立見通せず」から、要点と所感を整理する。

自民党、日本維新の会、生活の党の3党が衆院に共同提出したカジノを中心とした統合型リゾートを推進する法案の今国会成立が見通せなくなってきた。連立与党の公明党に慎重論が強く、政府・与党としては成長戦略関連の政府提出法案の審議を優先している。

法案名は「特定複合観光施設(IR)区域整備推進法案」。超党派の国際観光産業振興議員連盟(会長・細田博之自民党幹事長代行)が取りまとめた。民間活力を生かしたIR施施設整備と政府の支援をうたうとともに、内閣府の外局に置く「カジノ管理委員会」でカジノ施設関係者を規制することなども盛り込んだ。

昨年12月の臨時国会に自民、維新、生活の3党の議員立法で共同提出。今国会に引き継ぎ、成立を目指している。

自民党国会対策委員会では、IR法案が審議入りできるのは、成長戦略関連法案の衆院審議が終わる5月半ば以降とみている。

気がかりなのは公明党の出方だ。同党の支持母体である創価学会にはカジノによる治安悪化などを懸念する向きがある。法案の共同提出に加わらなかったのも、そのためだった。

公明幹部は「党内でまだ議論している」と態度を保留にしている。自民党には「各党への根回しも遅れ、今国会は難しい」との声がある。

「審議期間が少ないし、公明党が慎重派なので、弱気になっている」ということである。

そもそも、何のためにカジノを検討するか。目的のための手段として、カジノを検討してきたはずである。

観光促進、経済活性化、雇用創出、これらにより税収確保という目的があったはずである。

その目的を達成するために生じる困難、ここでは治安悪化を指しているが、これは対症療法を講じれば良い話である。

国内には、パチンコ、競馬、競輪、競艇、というように、既にあちこちにギャンブルの花が咲いている。これらのどれにも治安悪化の懸念があるが、それを払しょくしようとする社会全体の動きがあり、今日でも娯楽の一つとして運営されている。

そのような現状の一方で、公明党の「カジノによる治安悪化などを懸念」とは、いったい、何を憂いているのだろうか。パチンコ業界の基礎票をあてにするいやしい心で、目的のための手段を変えようとするならば、反対論とセットで代替手段を提案するのが建設的与党である。

2014/04/24 本日の日本経済新聞より「REIT 実力を探る (5)ホテル 観光ジャパン「期待の新星」」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「REIT 実力を探る (5)ホテル 観光ジャパン「期待の新星」」です。





 ホテル・旅館への投資に特化する不動産投資信託(REIT)は2銘柄にすぎないものの、今後の賃料上昇が見込まれる「期待の新星」だ。観光庁によると、2013年の国内の宿泊者数は延べ4億5605万人(うち外国人は3324万人)と4年連続で増加した。観光立国を掲げる日本の成長分野として注目されている。

星野Rリートが取得する「星のや京都」(京都市)

 ■成長に個人マネーを

 京都・嵐山の渡月橋から舟で10分ほど上流に進むと、数寄屋造りの木造建築が見えてくる。旅館「星のや京都」。築100年程度という建物の風情や丁寧な接客にひかれて国内外から宿泊客が訪れる。平日でも満室となることが多い。

 この旅館を5月に取得するのが星野リゾート・リート投資法人(星野Rリート)だ。星野リゾートが設立母体となり、13年7月に上場した。「観光産業の成長に個人が投資できる仕組みをつくるのが目的」と星野リゾートの星野佳路社長は話す。保有物件総額は現在150億円(6物件)。5月2日付で新たに183億円(24物件)を取得することが決まっている。

 ■物件の稼働率高まる もう1つのホテル系がジャパン・ホテル・リート投資法人(ホテルリート)。保有物件総額は1576億円と星野Rリート(取得予定物件を含め333億円)を上回る。旗艦物件のヒルトン東京ベイ(千葉県浦安市)は東京ディズニーリゾート隣接で集客力が高く「最近は台湾など海外の宿泊客も増えている」(フレデリック・ルクロン総支配人)。

 ホテル系は保有物件をホテル運営会社に貸し出し、賃料を稼ぐ。景気回復を背景に主力物件の稼働率は高まっている。ホテルの稼働状況に連動して受け取る「変動賃料」の比率はホテルリートが約3割。星野Rリートは14年10月期に約1割となり、収益を押し上げる見通しだ。

 ■小規模で価格変動も 予想分配金利回りはホテルリートが4%台。星野Rリートも14年10月期ベースでは3.8%程度と、オフィス系大手の2%台を上回る。「賃料の上昇期待を考慮すると割安感がある」(大和証券の住谷智宏氏)との見方もある。

 ホテル・旅館は収益が景気や災害の影響を受けやすい。星野Rリートは時価総額が上場44銘柄の中で最も小さく、大口の売買で価格が大きく動くこともある。投資の際は外部環境の変化にも注意が必要だ。

(おわり)

 蛭田和也、増野光俊、篠崎健太、武田健太郎、竹内宏介、椎名遥香が担当した。



2014/04/24 本日の日本経済新聞より「米大統領来日、アーミテージ氏に聞く アジア重視、証明を 日本は規制緩和が焦点」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「米大統領来日、アーミテージ氏に聞く アジア重視、証明を 日本は規制緩和が焦点」です。





 来日したオバマ米大統領との24日の首脳会談で、安倍晋三首相は強固な同盟体制を再確認し、未来志向の日米関係を再構築する端緒を開けるか。米知日派の重鎮、アーミテージ元米国務副長官に首脳会談の見通しや日米同盟の課題を聞いた。

 ――首脳会談でどのような成果を期待するか。

 「アジア歴訪成功のため、大統領はまず、リバランス(アジア重視政策)に真剣に取り組んでいることを証明しなければならない。軍事だけでなく、貿易、文化、教育、海外直接投資など様々な面を含む」

 ――環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る日米交渉の行方も焦点だ。

 「大統領は米議会から与えられていない貿易促進権限(TPA)について、誠実に取り組む姿勢も見せなければならない。次の議会が始まる際にはそれを手にするということを示す必要がある」

 ――シリア、ウクライナ情勢などで大統領の指導力も問われている。

 「大統領は米国が能力を保持しているにもかかわらず、なぜそれを行使しないのか、理由を説明しなければならない。特に日本の首相とは尖閣諸島などを巡る『グレー・ゾーン(有事未満、平時以上)』に関する対応について突っ込んで意見交換すべきだ」

 ――ウクライナ南部クリミア半島を巡る大統領の対応が、尖閣防衛に関する米国の決意に疑念を生じさせたとの声も日本にはある。

 「尖閣が日本の施政権の下にあることに疑いはない。米国による(日米安保条約に基づく)防衛責務が適用される。尖閣が攻撃され、米国が日本支援のために行動しなければ、どのようにして同盟体制は存続できるというのか」

 ――安倍政権が集団的自衛権の行使容認作業を急ぐ背景には、米国のアジア重視を確固たるものにしたい、という戦略的な狙いもある。

 「集団的自衛権に関する(行使容認の)決断を先延ばしにすることがあっても、それは日本の決断だ。我々がこの同盟を続けることに変わりはない。日本にとって今、最も重要なことは、経済を回復させることだ」

 ――アベノミクス、特に「第三の矢」の規制緩和などについて、米国には懐疑的な見方も出始めているということか。

 「少し様子を見ようというムードだ。日本の経済成長率は1.4~1.5%、インフレ・ターゲットも2%ではなく、1.5%程度だろう。かつてよりは良いが、規制緩和がどの程度かを見極めようとしている」

 ――安倍首相による昨年末の靖国参拝について「中国を利する」という趣旨の発言をした。

 「靖国参拝は私的な問題であり、宗教上の行為だ。そう言った上で私が異論を唱えたのは、あの参拝によって中国が外交上、大きな追い風を得たからだ。日本は右翼で、軍国主義的だと国際社会で喧伝(けんでん)している中国を助けた」

 ――大統領に韓国訪問を進言したのはなぜか。

 「訪問しなければ、重要な同盟相手の韓国を戸惑わせる。米韓関係は極めて良好だが、歴史的には少し難しいところもあった。韓国にはいつも米国は『日本寄り』と映る。だからこそ大統領は行かなければならない」

 ――日韓関係は従軍慰安婦問題を発端に今もギクシャクしている。

 「従軍慰安婦の問題は、その数がどうであれ、今の国際社会において、多くの感情を呼び覚ます。日本の友人は『何度もわびて、疲れてしまった』と言う。わび続けることは確かに楽しいことではない。しかし、人生において、時には悔恨の念を言い続けることに価値を見いだす場合もあるのではないだろうか」

(聞き手は編集委員 春原剛)

 リチャード・アーミテージ氏 国防戦略の専門家で、レーガン政権の国防次官補やブッシュ前政権の国務副長官などを歴任した。

2014/04/23 本日の日本経済新聞より 「国立追悼施設、検討を」

今日は、日本経済新聞14版の4面(政治)にある「国立追悼施設、検討を 公明代表 総務相ら靖国参拝」から、要点と所感を整理する。

公明党の山口那津男代表は22日の記者会見で、新藤義孝総務相らが靖国神社を参拝したことを批判した。同時に、靖国神社に代わる国立の追悼施設について「真剣に検討してもいい」と述べ、政府に再検討を求めた。

靖国参拝問題の真相については他稿に譲る。与党の一員たる政治家が述べた見解に違和感を感じるので、所感をまとめたい。

山口代表は、他国の感情的な意見を踏まえ、解決の方向性を示している。靖国神社参拝問題は、様々な見方がある中、日本の政治家が特定、それも国外の意見を全面的に汲むかのような発言をし続けていることに筆者は違和感を覚える。

靖国神社は、政教分離という現在の憲法よりもはるか前から存在し、歴史的に政治家との関わりが非常に深く、一時は国民の精神的支柱でもあった宗教施設である。

その靖国神社について、現代の政治家がどのように関わるのか、ここに焦点が当たっているのが靖国参拝問題である。政治家の政教分離、はたまた、政治家個人の思想信条の自由、これらの二律のどちらが優先されるべきか。

国内ではこの議論を各人が自分の思想信条を頼りに模索している状況であるが、筆者の見解はシンプルである。

国民は、長い時間を経て育まれた文化や風土に強く影響を受けると同時に、文化や風土の体現者となっている。つまり、国民と文化風土は一体である。これらの集合体が国家である。

この国家の在り方、つまり国民や文化風土が作り出してきたものを他国民、他文化や他風土が肯定しないのは、ある意味、当然である。その当然の違い、埋められない溝をこちらの方から一方的に埋めていくと、一時的に溝は埋まるかもしれない。

しかし、再び、相手が遠のき、そこに溝ができたとき、どうするのか。いつか、埋めなくてもよい溝があることに気が付くはずである。

第二次世界大戦の途中から一方的な劣性となったにも関わらず、講和条件を厳しくし、完膚なきまでに叩きのめす戦略に出た戦勝国は、最後に実験的に原爆まで落とした。そして、敗戦後、大日本帝国を国家として完全に解した。その結果は日本人が民族として受け入れ、国体は全く別のものに塗り替えられた。今の日本は戦後の新国家であり、戦前からの国家系譜は完全に断絶されている。

そんな今の日本に対し、他国が大日本帝国憲法時代の責任を負わせようとするのは、国家対国家の論理ではなく、民族対民族の論理である。民族対民族の長い人類史からしても、溝が埋まらない、埋められないのが世の理(ことわり)である。そこを人類史に反してまで無理するのは、世の理(ことわり)に反している。

以上から、山口代表の発言について、筆者は世の理に反していると考えている。国民の共感を得られるような見識を持っていただきたい。

2014/04/22 本日の日本経済新聞より 「13年度の貿易赤字 最大」

今日は、日本経済新聞13版の5面(経済)にある「13年度の貿易赤字 最大 輸出競争力が低下 スマホなどアジアから輸入急増」から、要点と所感を整理する。

為替相場は円安が続いているのに、輸出が伸びない。財務省が21日発表した貿易統計によると、2013年度の輸出数量は前年度に比べて0.6%増とほぼ横ばい。アジアと欧州連合(EU)、米国向け輸出が前年に届かなかった。輸出が伸び悩む背景には生産の海外移転や日本企業の競争力が落ちた面があり、貿易赤字は当面定着しそうだ。

円の対ドル相場は前年に比べ21%安くなった。従来ならドル建ての輸出品価格を値下げする企業行動が反映され、輸出は増える。だが、13年度は輸出から輸入を差し引く貿易収支が13兆7488億円の赤字。統計を比較できる1979年以降で最も大きな赤字だった…

この後に続く記事の概要は、次のとおり。

  • 輸出10.8%増の一方、円安で輸入原材料の価格が膨らみ、原発停止の影響によるLNG輸入が増え、輸入が大きく動き、貿易赤字額が69%も増えた
  • 直近の貿易黒字の時期(10年度)と地域別の収支を見るとアジアとの貿易黒字が縮小している
  • アジア向けの部品輸出が8.0%に留まったのに対して例えば自動車部品だけで見てもアジアからの輸入が38.3%増
  • スマーフォトンなどの通信機器の増加も大きく日本企業が競争に敗れた結果
  • 多くの民間調査期間が14年度の貿易収支は10兆円規模の赤字と見ている
  • 生産の海外移転や高齢化で国内の供給力が細り、10年代に貿易黒字になるのは難しい

貿易赤字が単なる原子力発電所の停止に伴うLNG輸入量の増大を主因としているものではなく、情報化社会という大きなトレンドの中で、アジア企業との競争に敗れてIT関連機器の輸入が目立つようになったことが、我が国の将来の貿易黒字の見通しを厳しくしている。

資源だけでなく、主要産業も海外に依存する時代の到来が近づいている。高齢化が進み、国内マーケットが縮小する中で、生産拠点を国内に置くメリットは大きく薄れた。製造業にとって、製品仕様の国内ガラパゴス化は、海外での競争敗退の主因となっており、モノづくりの感性から製造までを海外拠点で行うのが当たり前になっている。

将来の貿易黒字の見通しが立たない中で、転換点をどこに求めるべきか。今の大きな流れを大きく転換しなければ、国力の衰退は免れない。

そこで、大きな突破口になる可能性があるとすれば、何はともあれ、エネルギーの国内創出である。水素、メタンハイドレート、日本でも自給可能性のあるこうした資源の実用化を急ぐとともに、基礎技術のある原子力を高度安定化させることに注力すべきではなかろうか。

こうした新創出に今の国力を注ぐことが未来への投資となり、立派な大義名分である。福祉にばかり傾注し、国の出口戦略に注力するだけでなく、出口の後の入口をしっかりと見据えて投資して欲しい。

2014/04/21 本日の日本経済新聞より2 「(エコノミクス トレンド)忠誠心は業績を上げるか?」

ここでは、日本経済新聞14版の17面(経済教室)にある「(エコノミクス トレンド)忠誠心は業績を上げるか?」を引用し、所感を整理する。

〈ポイント〉
○会社への一体感や仕事への関与で業績向上
○急激な人事改革は裏切りと取られ士気低下
○帰属意識の業績への影響は国により異なる

日本企業には、社員の忠誠心の高さを強みにした独自のチームワークによる競争力があった。だがバブル崩壊後、度重なるリストラや福利厚生の縮小、非正規社員の増加などにより、会社との一体感は薄れた。一方で、三井物産が社員寮を復活するなど社員への定着政策を再展開している会社も出ている。今、日本企業が組織として業績を上げるには、社員のどのような忠誠心を構築すべきなのだろうか。

加護野忠男神戸大学名誉教授が指摘するように、日本企業では社員の持つ会社との一体感が、社内での熟練やノウハウの継承発展、高い品質づくり、持続的イノベーション(革新)を支えてきた。しかしNHK放送文化研究所による「日本人の意識」調査でも、職場での人間関係は全面的から部分的なものへと弱まっている。忠誠心の低下は、技能やノウハウの散逸、品質事故や革新停滞など経営に悪影響を与えるのではないかと懸念されている。

米ノースカロライナ大学のハワード・オルドリッチ教授によれば、社員には会社を組織として「利用する者」と「支える者」の2種類がある。忠誠心の問題はアナクロではあるが、会社を支える者を長期的にどのように育成するかという問題である。

会社への忠誠心の研究は、社員の企業への帰属意識が会社業績にどのような影響を与えるかという観点から国際的に行われており、3つの代表的な考え方がある。

まず、社員が会社に持つ関わりの強さを測る「組織コミットメント(関与)」という見方である。社員の会社への関わりが強いほど、個人の満足度や仕事への一体感が高まる傾向がアンケート調査で確かめられている。特に感情的なつながりの強さの持つ定着効果は大きい。

第2に、米カーネギーメロン大学のデニス・ルソー教授らが展開した、人事制度改革が社員の帰属意識の内容とその変化にどう影響するかを考える「心理的契約」の視点がある。社員が会社に対してどのような義務や貢献を期待されているのかと、その達成がどう報われるかについて、明文化された契約ではなく意識内容を探る研究である。

こうした検討が始まったのは、80年代の欧米で、長期雇用で有名だった米IBMなどの優良企業でもリストラや賃金カットが行われ、従業員の帰属意識が大きく変容したのがきっかけだった。米国でのいくつかのアンケート調査からは、急激な人事改革を社員が「会社の裏切り」と感じた場合、上司からみた士気低下と、それによる業績低迷につながる傾向が読み取れる。

第3には社員と、会社での仕事上の役割との関係を中心に見る「エンゲージメント(愛着を持つ関与)」という考え方である。この考え方の背景には、社員の仕事が、より内面的な関わりを求めるものに変化してきたことがある。

現代の仕事は、官僚制組織のもとで個人別に固定的に割り振られ上司が管理する同質的な業務から、プロジェクト型組織のもとで、個人の役割が柔軟かつ継続的に変化し、チームワークが重視される自己管理型、非定型的な業務に変わってきた。

そこで米ボストン大学のウィリアム・カーン教授は従業員のエンゲージメントという理論を提示し、肉体的にだけではなく、心理的にも感情的にも社員が仕事で求められる役割内容に打ち込んでいる方が、個々人の業績が高くなり組織の業績も上がるという見方を示した。ビジネス調査機関コンファレンス・ボードの調査でも、従業員のエンゲージメントが高い会社は低い会社より営業利益率で3.74%、純利益率で2.06%高い。

企業への忠誠心が高い社員が、企業業績にどこまで貢献するかについては議論の余地があるだろう。ただ近年の研究では、社員の仕事内容が、より企画的で、チームワーク型で、グローバルなものに変化しつつある現状を受け、業績への影響については主に3つの面で議論されている。

第1は、社員が仕事の内容がおもしろく、有意義であり、やりがいがあると感じると、内面的なやる気を高めて、仕事で自主的に創意工夫をする効果である。サービスや仕事の質が高まり、業績が上がると考える。

第2は、社員が会社組織のために、職務規定に決められた役割以上のことをする「役割外行動」の誘発効果である。米インディアナ大学のデニス・オーガン教授らの提唱する「組織市民行動」論が代表的な考え方である。例えば社員が組織活動を円滑に進めるために、自分に与えられた仕事上の役割や、公式の報酬で評価されるかどうかにとらわれず、上司や同僚、顧客らに対して、積極的に援助する姿勢を指す。

OJT(仕事上での訓練)もその典型だ。個人成果だけを評価される人事制度のもとでは、利己主義の観点からは、社員にとって同僚や部下にOJTをする気は起きない。個人の営業成績と異なり、他人に教えたことは明確に数値で評価されづらいし、教えたことで同僚や部下の業績が上がれば、自らの競争上の立場を悪くするからだ。

しかし組織市民行動の研究は、社員が同僚や顧客らを助けるという利他的行動が、結局は会社の組織活動を向上させる面があることを明らかにした。銀行、ホテル、医薬品販売などでは、サービス品質や顧客満足度の高さにある程度つながることが米国のアンケートでも実証されている。

第3に、帰属意識とその効果は国によって異なる。豪ニューサウスウェールズ大学デビッド・トーマス教授らの心理的契約の国際比較は、会社帰属意識が欧米やアジアで異なっており「タテ社会―ヨコ社会」「集団主義―個人主義」の2次元で分けられるとした。東アジアに見られるタテ型の家父長的な会社忠誠心モデルは、ヨコ社会の個人主義的な意識のモデルと異なる(図参照)。

忠誠心のマネジメントは、チームワークを基礎として継続的なイノベーションを競争力とするような日本企業にとって、重要な課題である。具体的には大きく2つの課題を抱えている。

まず社員の雇用形態や働き方の意識の多様化に伴い進む、社内での帰属意識の多様化への対応である。従来の日本的経営の中核であった若・中年の男性正社員だけでなく、非正規の増加や、女性、外国人、高齢者の活用などに伴い、様々な帰属意識を持つ者が中核人材になってきている。これからの忠誠心づくりでは、例えばサイバーエージェントのように表彰、ボーナス、新規事業を立ち上げる機会の提供、昇進などを通じ、会社活動を発展させる貢献を、多様な期待に合わせて動機づける工夫が求められる。

第2に、日本のチームワークを海外移転する際の課題である。日本企業のアジア事業所を訪れると、現地社員のチームワークの弱さと会社貢献意識の低さを嘆く日本人若手社員に遭遇する。だがすでに見たように会社への帰属意識の性質は国際的に異なっている。ブリヂストンの異文化研修やグローバル幹部研修のように、海外も含め会社を長期に支えるマインドセット(心構え)を持つ人材を見付けて育てる仕組みが求められる。

京都大学教授 若林直樹

要点を整理すると次のとおりである。

会社への帰属意識について
  1. 社員の会社への関わりが強いほど、個人の満足度や仕事への一体感が高まる
  2. 社員が会社に対してどのような義務や貢献を期待されているのかと、その達成がどう報われるかが帰属意識と直結している
  3. 社員と会社での仕事上の役割との関係を中心に見るエンゲージメントという考え方に基づき、肉体的にだけでなく心理的にも感情的にも社員が仕事で求められている役割内容に打ち込んでいるほど個々人の業績が高くなる傾向があること
企業への忠誠心が高い社員が企業業績にどこまで貢献できるか
  1. 社員にとって仕事の内容が面白く、有意義であり、やりがいがあると感じると、内面的なやる気を高め、仕事で自主的に創意工夫することで、業務の質が高まり業績が上がるという考え方
  2. 社員が組織活動を円滑に進めるために、自分に与えられた仕事上の役割や、公式の報酬で評価されるかどうかにとらわれず、上司や同僚、顧客らに対して積極的に援助する姿勢が期待できるという考え方
  3. 国によって文化が異なり、「タテ社会とヨコ社会」、「集団主義と個人主義」の2次元で考えられ、帰属意識とその効果が異なるという考え方
忠誠心のマネジメントにおけるポイント
  1. 非正規、女性、外国人、高齢者など、社員の帰属による意識の多様化があり、多様な期待に合わせて動機づけする工夫が必要。
  2. 日本企業のアジア事業所に見られる現地社員のチームワークの弱さや会社貢献意識の低さ、こういう会社への帰属意識の性質は国際的に異なるものであり、これに対応する心構えを持つ人材の発見と育成

「忠誠心は業績を上げるか?」の問いの答えがYesかNoの二択でしかなければ、筆者はNoと答える。社員の忠誠心、また、忠誠心を引き出す会社の仕組みがあったとしても、忠誠心そのものはマインドでしかなく、業績という結果に結び付けるための処方箋ではないからである。業績は結果であり、処方箋は戦略やマネジメントである。業績を上げるためには、労働者に業務適性があること、また、的確な戦略がマネジメントに落とし込まれ、実行されることがまず必要である。

忠誠の源泉は、雇用という安心感、経験や関わりから得られる自己実現や達成感である。これらはプロセスから得られる満足である。その満足に”業績”が追随するかどうか。いくら高い満足があろうとも、戦略とそれに基づくマネジメントがない限り、業績は伴わない。

ただし、忠誠心を持つ社員こそが会社の基盤資源となることに疑いの余地はない。この基盤資源が企業戦略を理解し、マネジメントに忠実であれば、業績に深く関与することになる。基盤資源が傭兵のごとき人員で構成されていたとすれば、彼らの動機を推し量れず、業績を期待しつづけるのには大きな不安がある。

そういう意味で、業績を上げ続けるには、戦略構築が的確でマネジメント力のある経営層、忠誠心を育む会社環境、動機づけに応えるマインドや素養を持つ社員、こうした要素が必要になろう。

2014/04/21 本日の日本経済新聞より 「新たな冷戦は起きない」

ここでは、日本経済新聞14版の4面(オピニオン)にある「グローバルオピニオン 新たな冷戦は起きない」を引用し、所感を整理する。

ロシアのクリミア編入、欧米による対ロシア制裁、ウクライナ情勢がさらにエスカレートする可能性など、今起こっていることは2001年の米同時多発テロ以来最も重要な地政学的出来事だ。ウクライナ問題は米ロ関係の転換点となった。さまざまな形の東西対立が避けられず、欧州の安全保障、ロシアの安定、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の将来、そして世界のエネルギー市場に影響が及ぶことになる。

ただ、緊張が続き、悪化する公算が大きいと思われるものの、これは「新たな冷戦」にはならないだろう。

まず、ロシアは強大な友好国を持たないし、新たな友好国を獲得する力もない。国連総会がロシアのクリミア編入を無効とする決議案を採択したとき、ロシアの側についたのはわずか10カ国だった。

またロシアの昨年の経済成長率は1.3%にすぎず、資源輸出への依存度が高まっている。これは、世界的なエネルギー価格の上昇という可能性の低いシナリオが実現しない限り、成長率が改善しないことを意味する。

ロシアは核保有国だが、旧ソ連ほどの軍事力はない。現在、米国の軍事支出はロシアの約8倍にのぼる。ロシアは近隣諸国に危害を及ぼす力はあっても、冷戦規模の力を誇示することはできない。

ロシアの最大の問題は、中国が信頼できる反西側同盟国になりたがらないことだ。中国がこの対立で一方の側を支持しても得られるものはほとんどない。中国はロシアからのエネルギー輸入を増やしたいと考えているものの、モスクワに接近して最大の貿易相手(EUと米国)と敵対しようとは考えない。

実際、中国はウクライナ危機で最大の(そしておそらく唯一の)勝者だ。欧州がロシアのエネルギーへの依存度を低下させようとするなか、中国はすべての国と実務的な関係を維持し、優位な立場で価格交渉できる。米国が東アジアより東欧に注目することも中国にとって有利だ。中国は、ウクライナの分裂につながるような行為に対して慎重に行動するだろう。中国はチベット自治区や新疆ウイグル自治区のような不安定な地域で同様の自治要求を引き起こすいかなる前例にも反対しているからだ。

冷戦にはならなくても、ロシアは西側の外交計画の無効化を図ることはできる。シリアのアサド政権に対し、化学兵器廃棄や引き渡しの要求を無視するよう働きかけることができるし、さらに金融・軍事支援を提供することもできる。しかし、ロシアがこの壊れた国を立て直すためできることはほとんどない。

ロシアはまたイランの核協議に打撃を与えようと画策することもできる。しかし、核合意をテコに国内経済を再建したいと考えているイランに合意破棄を説得するのは容易でないだろう。

新たな冷戦は起きないが、それは朗報とばかりも言えない。かつての東西冷戦時代は西側と旧ソ連の対立によっていや応なしに国際秩序が生まれ、国際政治は比較的予測が容易だった。過去6年間、米国の深刻な金融危機、ユーロ圏の動揺、北アフリカと中東の動乱、新興国国民の不満の高まり、そしてウクライナをめぐる東西の危険な対立と、予測できないことを次々に経験してきた世界では、予測の可能性が少しでも高まることは歓迎されるかもしれない。

イアン・ブレマー(Ian Bremmer)世界の政治リスク分析に定評。ユーラシア・グループは米調査会社。著書に主導国のない時代を論じた「『Gゼロ』後の世界」など。44歳。

ブレマー氏は中ロの立ち位置や現在の状況から、「新たな冷戦は起きない」と思料している。ただし、予測可能性が冷戦時代ほど高くないことはリスクとしている。

これらの考察は非常に含蓄に富んでおり、大いに参考になる。

実際、筆者も決定的な冷戦は起こらないと考えている。ロシアを除き、どの国も経済への影響を恐れているからである。だが、中ロとの政治的な対立は収まるとは考えられない。

中国について言えば、政治的リスクだけでなく、バブル経済へのリスクも懸念されることから、この国のカントリーリスクは昔と比べ、相対的に高い。このリスクをヘッジする手段は、投資の多様化、多角化であり、結局、パッシング・チャイナに行きついてしまう。

中国としては国内政情安定のためにも継続的な経済発展が必要であり、パッシング・チャイナを回避したいはずである。そのため、革新的利益を微妙に変化させながら、そして、対峙する相手を変えながら、経済安定策が叶う政治スタンスをとってくるものと思われる。

2014/04/20 本日の日本経済新聞より 「風見鶏 G7「密議」の中身は」

今日は、日本経済新聞14版の2面(総合・政治)にある「風見鶏 G7「密議」の中身は」から、要点と所感を整理する。

3月24日、オランダで開かれた主要7カ国(G7)の首脳会議は、まさに後者の「ガチンコ」だった。ウクライナ危機をにらみ、米国はロシアへの制裁強化を求めたが、欧州の一部は「そう単純にはいかない」と強く抵抗したという。

ロシアが欧州への天然ガスを止めても大丈夫なように、米国がシェールガスを供給してもいい――。

オバマ米大統領はその時、ひそかにこんな意向を示唆した。ロシアにエネルギーの首根っこを押さえられている欧州を安心させ、対ロ制裁の強化に同調してもらおうとしたのだ。

だが、ロシアを追い詰めすぎれば、こんどは中ロが接近しかねないという議論も出た。口火を切ったのは、安倍晋三首相だ。

「これはグローバルな問題だ。ロシアは中国(の態度)に『感謝する』と言っている。中ロが結びつかないよう警戒すべきだ」

ある欧州の首脳も「中国とロシアは、すでに裏で握り合っている」と発言。中ロの出方をめぐり、激しい議論になったという。

中ロが枢軸を組み、シリアやイラン問題などでことごとく反対に回る展開は、G7としても避けたい。実際、中ロは今月半ばに外相会談を開き、プーチン大統領が5月に訪中する予定もちらつかせる。

とはいえ、ロシアに甘い態度をとれば「中国まで自信を深め、尖閣諸島や南シナ海でさらに強硬になりかねない」(米政府当局者)。アジアにとっては、それこそ悪夢だ。

アジアの国々はどうみているのか。3月下旬、興味深い対話が2日間、中国・上海で開かれた。集まったのは日米中や東南アジア、インドのジャーナリストや学者ら。日本の国際交流基金が主催し、アジアの将来について意見をぶつけ合うことにしたのだ。

「このままでは、東南アジアは分裂してしまう」。参加者から出たのは、こんな悲鳴だった。中国の揺さぶりによって、東南アジア各国が引き裂かれつつあるというわけだ。

とりわけ印象深かったのが、ある識者の予測だった。大まかにいえば、中国が強大になるにつれ、東南アジアは3つの集団に分かれていくとの分析だ。

ひとつは、中国の支配に抵抗しようとするベトナム、ミャンマー、フィリピンといった対米友好国。次が、中国に近接し、親中にならざるを得ないカンボジアやラオス。残りが、その中間であるインドネシアやタイ、マレーシア、シンガポールだという。

この予測を半ば、裏づける予兆がある。外務省が先月、東南アジア7カ国で実施した世論調査だ。将来、重要になるパートナー国を複数回答で聞いたところ、1位が日本(60%)、次は中国(43%)、3位が米国(40%)の順だった。

日本が首位になったのは朗報だが、米国が中国の後じんを拝したのは気がかりだ。中国の援助や外交圧力によって、親米圏が切り崩されているなら、米国に防衛を依存する日本にも人ごとではない。

軍事力で脅し、隣国の一部を奪いとったロシア。それより国力が強い中国が、ロシアをまねしても大丈夫だと勘違いしたら、まず矢面に立たされるのは日本にほかならない。

そんな危険の芽を摘みとるには、どうしたらよいのか。日本が米欧と組み、どこまでロシアの暴走に有効な対抗策をとれるかが、試金石になる。

(編集委員秋田浩之)

中ロとG7(米、英、仏、独、伊、加、日)の対立軸について、また、この対立軸の傍観者がどのように行動しているかである。

中ロとG7の対立が先鋭化しているのは、G7の経済に大きな影響を与えるまで、中ロが膨張してきたためである。

G7は自国の経済活動のために、長年、中国のマンパワーやロシアの資源を買い、彼らにG7の経済的信用力の高い通貨を与えてきた。中ロはその通貨で自国産業を富ませ、自国通貨の価値を上げ、購買力を増し、今やG7の経済のノド元にナイフを突きつけられるポジションを占めてしまった。

そもそも、思想や信条の違う対立軸の間で、なぜ、経済活動を行うのか。甚だ疑問である。

物々交換の時代、お互いに相手の必要なものを用意し、交換することで、お互いが満足する。一方は、得たもので家族を養うが、一方は得たもので自分を満足させる。国家に置き換えてみると、一方は得たもので国民を養うが、もう一方は得たもので国家を満足させる。前者がG7であり、後者が中ロである。に遡ってみても、物を交換することでお互いが富むのは明らかであり、

今や国家は、その国家経済が世界の中でどの位置を占めているかによって、優劣がによりこの対立軸、相互の経済活動が独裁国家と言えども、今や資本経済を軽んじる国家はごく少数であり、中ロは政治だけでなく経済でも発言力を増している。

洋の東西や主義の右左を問わず、国家には貨幣があり、国体は国家経済があって初めて成立するものである。しかし、経済の大小という概念や他国との比較を論ずるあまり、大きいものを良しとして暴走したがゆえに、膨張させるための手段を選ばなくなってしまった。思想信条の違う国家とのお付き合いを始めてしまったこの問題はグローバルと論ずるべきではなく、単なる経済動物の節操の問題である。

そもそも、地球には資源は限られている。経済の発展の裏付けは資源である。このまま、永遠に経済が膨張するということは、それに追随して資源も膨張しなければならない。その膨張のスピードに耐えられないから、思想信条が違うものが管理する資源に手を出したりしなければならなくなるのである。

ロシア人はロシア人、中国人は中国人、違いを認めて、袂を分かち合うべき相手とはきちんと分かち、それで地球上で共存すれば、それでよいのではないか。何も、隣家だからと言って仲良くしなければならない理由はない。