2014/01/29 本日の日本経済新聞より「財界 地殻変動2 外交、さびつく官民連携」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「迫真 財界 地殻変動2 外交、さびつく官民連携」です。





 「外国の方と領土問題が話題になったら皆さまの言葉で積極的に発信してほしい」。昨年12月18日、経団連の会合に出席した領土問題担当相の山本一太(56)は、企業の首脳らにこう呼びかけた。話の流れから言えば「商談の場で竹島や尖閣諸島を日本領だとPRしてほしい」とも解釈できる発言。同席した経営者は賛否を示さなかった。

中国の汪洋副首相(右)と握手を交わす日中経済協会の張富士夫会長(昨年11月、北京)=共同

 中韓関係者が積極的に発信する一方で、山本の要請は「筋違い」とは言い切れない。ただ現政権と経済界は領土や2国間関係のような高度な問題で連携できるほど、親密とはいえない。

 「今度の首相外遊に御社の社長に同行してもらいたい。誰にも相談せずに、返事は私のこの携帯にお願いしたい」。ある商社の渉外担当は、経済産業省幹部からこんな勧誘を受けた。

 首相の外遊で経済界が同行団を組む場合、以前は経団連がメンバーや段取りを整える窓口だった。今の安倍政権では首相補佐官の長谷川栄一(61)が企業のリストを練り、経産省が対象者を「一本釣り」で勧誘する。

 政府関係者は「学界や医者など幅広い人材を同行させたい」と狙いを説明する。だが国内外に経済界と政府の連携が薄い印象を与える可能性は否めない。

 2005年に首相の靖国神社参拝で日中関係が冷え込んだ時は、官民の関係が少し違った。

 当時、経団連会長の奥田碩(81)は訪中の際、首相の小泉純一郎(72)から「私は親中派だ」という伝言を預かり、中国首相の温家宝に伝達。直後に奥田は国家主席の胡錦濤との極秘会談を実現し、お互いの立場や考え方を意見交換したという。古くは中曽根政権でも首相が経団連会長を務めた稲山嘉寛(故人)に靖国問題に関する中国首脳の本音を探るよう依頼した。

 昨年11月末、直前に180人規模の訪中団を率いた日中経済協会会長の張富士夫(76)らは首相の安倍晋三(59)を訪れた。だが意見交換は主に日中の経済情勢だけ。今まで訪中団が会えていた首相クラスとは会談できなくなり、政治や外交の問題はほとんど素通りだった。

 トルコでの原発受注など、官民外交が実を結んだ分野もあるが、外交上の難局を官民の連携で打開しようという胎動は見られない。奥田は「相手国の首脳と個人的な関係をつくることが大事。今の経済界はそういう人間関係が薄くなったのかもしれない」とみている。(敬称略)

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