2014/02/06 本日の日本経済新聞より「軍事費、中ロが急拡大 米の圧倒的優位に陰り 英研究所報告」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「軍事費、中ロが急拡大 米の圧倒的優位に陰り 英研究所報告」です。





 【ロンドン=上杉素直】英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は5日、世界の軍事情勢をまとめた年次報告書「ミリタリー・バランス2014」を発表した。米国の軍事費が減少傾向に転じる一方、金融危機後に歳出を増やした新興国が軍事面でも台頭。上位15カ国の軍事予算に占める米国の割合が半分を割り込み、米国の圧倒的優位にかげりが見え始めた。

 「米国の軍事費は転換期にある。政府債務上限をめぐる議会の停滞もあり、軍事費を急拡大した過去10年を経て、目下減少へ向かっている」。報告書は米国の近況をそう総括した。イラクでの軍事作戦を終え、アフガニスタンでも撤収を進める米国の防衛支出は、国内総生産(GDP)比で5%に迫った08年からほぼ毎年減少。足元では同4%に近づいている。

 実際、冷戦後、軍事面で圧倒的な立場にあった米国の優位は薄れている。IISSがドル換算で集計した主要15カ国の13年の軍事予算は、米国の約6000億ドル(約60兆円)に対し、残り14カ国が合計6300億ドル余り。前の年から7%も減った米国を、残り14カ国の合計額が追い抜いた。

 逆転の背景には、新興国が歳出を膨らませてきたこともある。その傾向は、08年から13年にかけての軍事支出の増減をみると鮮明だ。新興国は中国の43.5%を筆頭にロシアが31.2%、ブラジルが10%と大幅に増加。一方、08年秋の金融危機やユーロ危機に苦しんだ欧米諸国は、21.5%減のイタリアや9.1%減の英国など総じて縮小か横ばいだった。

 世界全体の軍事費は、財政難の欧米諸国の歳出削減に伴い13年まで3年連続で減少。その中でアジアや中東・北アフリカ、ロシアなどは増額が続き、比重が徐々にアジアや中東へ移っている。

 報告書は、13年8月に英議会がシリア軍事介入の政府提案を否決した事例を挙げ「西側諸国は軍事介入に一段と慎重になってきた」と指摘した。

 イランの核開発問題をめぐる同国と米欧などとの協議について、IISSのチップマン所長は記者会見で「イランと西側諸国の隔たりや双方にある強硬論を踏まえると、年内の外交交渉はせいぜい一時しのぎの合意にとどまるだろう」と厳しい見方を示した。

東アジア軍拡に懸念、軍事費3年で13%増

 「ミリタリー・バランス2014」は、日本を含む東アジアで「軍事費が急増している」と指摘し、軍拡競争の激化への懸念を示した。同地域の13年の軍事費は10年に比べて13.2%増。足元でも年率2桁近い伸びを続ける中国に触発され、周辺国もそろって増やしている。

 12年に欧州を追い抜いたアジアの軍事費。IISSのチップマン所長は「我々の近年の分析通り、軍事バランスのアジアへのシフトが続いている」と強調した。

 特に拡大が目立つのが中国と日本、韓国の3カ国。報告書はアジア全体の12年から13年にかけての軍事費の伸びの57%を日中韓の3カ国が占めたとの集計を示した。チップマン氏は「突発的な衝突の可能性や緊張の高まりが今後も心配される」と述べた。

 日本の安全保障政策について報告書は「尖閣諸島をめぐる中国との対立や、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念があり、安倍晋三政権の発足後は以前より強い姿勢になった」と指摘。首相の靖国神社参拝については「域内における日本の(強制力によらずに支持や理解を得る)ソフトパワーや影響力を損なった」(IISSのクリスチャン・レミエー研究員)とした。

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