2014/02/07 本日の日本経済新聞より「「新興国不安」過度のドル依存課題 BRICs命名者ジム・オニール氏に聞く ドイツ・中国、責任分担を」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「「新興国不安」過度のドル依存課題 BRICs命名者ジム・オニール氏に聞く ドイツ・中国、責任分担を」です。





 新興国経済の先行きに、市場が疑念を強めている。有力新興国を「BRICs」と最初に呼んだ英エコノミストのジム・オニール氏(前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長)に考えを聞いた。

 ――BRICsの命名者として、新興国の市場混乱は心配ですか。

 「新興国不安という状況認識は単純すぎる。新興国だけが問題ではない。米連邦準備理事会(FRB)が政策の方向性を変えるだけで世界中に影響が及ぶ、米ドル中心の金融体制こそ課題だ」

 ――アルゼンチンやトルコなどの経常赤字が問題の引き金でした。

 「確かにトルコは短期的な問題の解決を強いられている。(3月の)地方選挙でエルドアン首相が苦戦すれば、顕著な政策の変更があろう。ただ(潜在成長率が高い)トルコ経済はジェットコースターのように激しく浮き沈みする。過剰な経常赤字を抱えれば、結果として経済が減速し赤字も減っていく。(新興国不安の)発端となったアルゼンチンの経済規模はギリシャ以下。米株価に影響を及ぼすはずがない」

 ――中国も景気の陰りと「影の銀行」問題が懸念材料です。

 「中国経済の減速は、政府が7%程度の成長を望んだためだ。古い不良債権が影の銀行の問題を膨らませたが、中国は意図的にこの問題の存在を認めている。変化を探っている証しだ」

 ――1997年のアジア危機のような不安の連鎖はないとみますか。

 「むしろ94年に米が利上げを始めた時の混乱と類似している。FRBが利上げを開始した週に、豪州国債の利回りは3日間で1%も上昇した。世界の金融がFRBの政策に振り回されすぎだ。もっと骨太な国際金融体制が欠かせない。ドイツや中国がもっと重い責任を担う必要がある」

 ――具体的には。

 「ドイツは欧州中央銀行(ECB)が2%近い物価上昇という使命を果たせるよう、インフレ恐怖症を克服すべきだ。ドイツの政治家が今後3年で3%のインフレを許容するといえば、市場は大いに沸き立つ。中国は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の算定に人民元を加えさせ、(通貨改革などの)首尾一貫した政策をとると宣言すべきだ」

 ――国際的な政策協調の余地は。

 「米国の金融緩和縮小はFRBの使命に沿っており、共感している。主要20カ国・地域(G20)の協調をもっと深めるべきだ。米国が緩和縮小を始めた同じ日に、ECBが物価目標の達成に努めると宣言すれば、市場は冷静だったはずだ」

 「大きな問題は新興国でなく、日本と米国の株価がさえないこと。理由は不透明だが、市場は米経済が十分に良好で強力だという通説を信じなくなったのではないか。それを心配している」

 ――最近の日本株の下落は際立っています。

 「円安が進んだ昨年は楽だった。今年は簡単ではない。安倍晋三首相は第1の矢(の金融政策)は忘れることだ。これ以上の円の下落を、他国は受け入れない。第3の矢となる女性活用、労働供給力の強化、生産性の向上に真剣に取り組まねばならない。安倍氏は強い言葉こそ発しているが、実行する証拠がない」

(聞き手は欧州総局編集委員 菅野幹雄)

 ▼BRICsとMINT BRICsは2001年にジム・オニール氏が有望な新興経済国としてブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取って作った。最後のSを大文字にして南アフリカを含む5カ国にすることもある。オニール氏は次の成長期待国としてメキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコをMINTと呼ぶ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です