2014/02/12 本日の日本経済新聞より「経常赤字の足音(上)気がつけば輸入大国 「技術で稼ぐ」転換道半ば」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「経常赤字の足音(上)気がつけば輸入大国 「技術で稼ぐ」転換道半ば」です。





 海外とのモノやサービス、配当などのやり取りをまとめて示す経常収支の黒字が減り、赤字の足音が聞こえてきた。日本の経常収支の悪化は何を意味するのだろうか。

 「円安なのに輸出が伸びないな」。経済産業省の幹部は首をひねる。昨秋から省内でひそかに分析すると、浮かんだのはかつて「お家芸」とされた電機産業の衰退だ。

スマホで敗戦

 2.3兆円――。経産省はスマートフォン(スマホ)の普及による貿易収支の悪化額をはじく。単純計算で2013年の貿易赤字の2割に達する。貿易赤字は経常黒字を減らす主因だ。

 米アップル製などのスマホの輸入が急増し、「電話」の貿易赤字は3年間で0.5兆円から2兆円に膨らんだ。日本が強かったデジタルカメラなどの需要もスマホに食われた。13年のデジカメ輸出は5491万台でピークの10年の半分と、「スマホ敗戦」を裏付ける。

 一方、日本は輸入大国に変わりつつある。

 石油や天然ガスなど化石燃料の13年の輸入額は00~09年の10年間の平均より13.4兆円も多い。東日本大震災後の原子力発電所の停止が響き「対ドル1円の円安で燃料費は3千億円膨らむ」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)。

 フランスが05年に経常赤字に転落した際は、原油高に伴う燃料輸入の増加が響いた。日本には原油高に加え、原発を容易に動かせないというフランスにない要因もある。

 燃料以外の輸入も堅調だ。国内の供給量に占める輸入品の比率を示す輸入浸透度を1998年と13年で比べると上昇が際立つ。スマホなど「情報通信機械」は10%から48%に、衣類など「繊維」で20%から54%にそれぞれ大幅に上昇。鉱工業全体でも15%から24%に上がった。大和総研の斎藤勉エコノミストは「いまの円安水準でも16年度までは貿易赤字が続くのではないか」と話す。

ブランド力弱く

 赤字膨張に打つ手はないのか。経産省は、この10年で経常黒字を4倍に増やしたドイツに注目する。石炭の産出国でユーロ導入が競争条件を有利にした面を割り引いても、独企業の経営は参考になるという。

 為替の影響を除いた輸出価格を日独で比べると95年比で日本企業が10~15%下がったのに、独企業は5%の下落にとどまった。新興国との競争にさらされる条件は同じ。経産省幹部は「日本企業はブランド力や価格交渉力が弱い」とみる。

 工場の海外立地が進んで貿易黒字が減るのは、グローバル化に向き合う先進国の宿命でもある。モノの赤字を特許、実用新案、著作権など、技術や知恵で稼いで補えるかが分かれ目だ。

 こうした「技術貿易収支」を分析すると、日本の黒字は11年度に2兆円まで伸びてきた。それでもなお米国の20年前の水準にとどまり、グループ会社以外からの収入が伸び悩む。技術で稼ぐ経済への転換は道半ばだ。

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