2014/02/17 本日の日本経済新聞より「税のゆがみ見直す好機 歳出に削減余地(Taxウオーズ) 改革 法人税」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「税のゆがみ見直す好機 歳出に削減余地(Taxウオーズ) 改革 法人税」です。





 所得はサラリーマン平均の20倍を超える8600万円。所得税はいくらかかるか――。

 通常は3千万円を超える。だが肉用牛で生計を立てる畜産農家ならゼロにもなる。「肉用牛の生産は時間がかかり、価格変動も激しく、設備や餌代も高い」(全国肉用牛振興基金協会)として、肉用牛の売却で得た所得には税金がかからない特別な仕組みがある。

■例外、税収の1割

経済財政諮問会議での安倍首相の発言は参加者を驚かせた

 会計検査院が2011年の状況を調査したところ、特例の適用を受けた農家の所得は最高8600万円だった。再三の指摘で特例は少しずつ縮小してきたが、制度自体は温存されたままだ。

 14年度税制改正大綱を取りまとめる直前の昨年11月にも会計検査院は異を唱えたが、政府・与党はあっさり制度の延長を決定。農林水産省は「指摘を踏まえて中長期的に検証していく」(食肉鶏卵課)と涼しい顔だ。

 全国肉用牛振興基金協会の小里貞利会長(元自民党総務会長)は現役の農水政務官の実父。協会の前身の会長は「税制のドン」と呼ばれた故・山中貞則氏。業界団体に族議員関係者や官僚の天下りがずらり並んでいることが、政府・与党の切り込み不足につながってきた面は否定できない。

 肉用牛売却の免税は47年前、船舶の特別償却は63年前から。優遇措置はいったん導入すると業界の依存が強まり、廃止が難しくなる。「税制が弱者保護に偏れば企業の新陳代謝が失われてしまう」(経営共創基盤の冨山和彦最高経営責任者)

 特定の業界に恩恵が偏りやすい租税特別措置。財務省は総額9000億円というが、これは法人税関係に限った数字。所得税などのほかの税の軽減分を含めると、5兆円規模とされる。中立・公平が原則の税制では例外のはずだが、税収全体の1割に膨らんでいる。

 無駄な特別措置を打ち切れば、35%台(14年度)と世界でも高い法人実効税率の引き下げに必要な財源が生まれる。10%下げによる税収減(5兆円)をすべて穴埋めするのは難しいが、経済界も痛みを受け入れなければ議論は前に進まない。

 「今やらなくて、いつやるのか」。先月の経済財政諮問会議で法人税下げを提案した伊藤元重東大教授は、経済が上り調子で税収が増えている今こそ、税率下げに着手すべきだと強調する。

■税収穴埋めの方法は…

 「(税率下げは)税収にダメージになるのか、あるいは経済を活性化させ、税収のプラスになるのか」。安倍晋三首相は先月の経済財政諮問会議で疑問を投げかけた。財務省は法人税率引き下げで税収が減る分をすべて埋め合わせる財源がなければ減税はできないと主張する。だがそうした考え方に縛られたままでは法人税減税はできないというのが首相の立場だ。

 税収を穴埋めする方法はもっと広い視野で考えられる。日本の歳出はまだまだ削減できる余地が大きい。諮問会議は今後、法人税改革にとどまらず、歳出を大胆に削減することも議論すべく水面下で調整を進めている。

 法人税以外の税も見直さなくていいのか。広く薄く税を課す消費税など個人や企業の稼ぐ意欲をそぎにくい税制もある。「長い目で成長を考えるならば法人税を間接税に置き換えていくことも選択肢」(早稲田大学の谷内満教授)だ。成長による税収増の効果も分析する価値がある。

 法人税率の引き下げを税制や歳出を根っこから見直すきっかけにできないか。税収減5兆円という高いハードルは、この国のあり方を変えるテコとなる可能性を秘める。

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