2014/02/24 本日の日本経済新聞より 「グローバルオピニオン 日米はバランス重視で 米国先端政策研究所上級研究員 グレン・S・フクシマ氏」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞14版の4面(オピニオン)にある「グローバルオピニオン 日米はバランス重視で 米国先端政策研究所上級研究員 グレン・S・フクシマ氏」です。





 1960年代から日米関係を見てきたが、日本の指導層である自民党、官僚、企業、マスコミの一部は近年、共和党を好む傾向がある。

 昔はそうでなかった。60年代は民主党のケネディ大統領を賛美。70年代には日本を無視して訪中し、金と米ドルの交換停止を実施した共和党のニクソン大統領を嫌った。

 80年の大統領選で共和党のレーガン氏が選ばれると、多くの日本人は「映画俳優に務まるのか」と懸念した。だが、日本の指導層は民主党より共和党の方がくみしやすいと結論づけ、84年以後の大統領選のたびに共和党候補を支持した。なぜだろうか。

 第1に共和党と自民党の政治信条が近いことだ。反共産主義、大企業重視、反労働組合、保守的といった共通項が多い。第2にレーガン氏の大統領就任から2009年のオバマ大統領誕生までの28年間のうち20年間は共和党の大統領だった。継続や安定を好む日本の政治指導者が、民主党の人脈を開拓する必要を感じなかったのも無理はない。

 第3に共和党は「我々は自由貿易主義で民主党は保護主義だ」と演出。「共和党は対中国で強硬だが、民主党は日本より中国を重視している」と説得。実際は共和党にも保護主義者が少なくなく、民主党にも中国脅威論者がいた。

 第4に政権交代後、共和党の元高官は企業に入り、日本との信頼関係と経済的利益を共有するが、民主党の場合は大学などに戻るため日本との接点が希薄になる。

 第5にこうした背景から、日本の一部マスコミは共和党を好意的に報道する。第6に日本の指導層の中には、共和党は日本流の義理人情、浪花節的人間関係を理解するのに対して、民主党はドライで冷たく、論理的でビジネスライクだと言う人もいる。

 第7に民主党は人権など普遍的な課題を重視する傾向があるのに対し、共和党は北朝鮮による日本人拉致など日本固有の問題に配慮する。

 とはいえ、米国は二大政党なので、日本は民主党ともうまく付き合うことが賢明だ。人口が増加傾向にある若年層、女性、アフリカ系、ラテン系、アジア系の大半が民主党支持者のため、大統領選では民主党が当分優勢を維持する可能性が高いからだ。

 日本がこのままの状態を続けると、与党の民主党と疎遠になりかねない。中国、韓国は民主党との関係強化に積極的であり、いずれ日本がアメリカの外交政策の中で孤立する可能性も否定できない。

 日本の指導層は世界の動向を正確に把握し、バランス感覚を持って、共和党との良好な関係を維持しつつ、民主党とも戦略的な関係を構築することが重要だ。それが、長期的には日米関係にとって最善の策である。

Glen S. Fukushima 米通商代表部代表補代理(日本・中国担当)、在日米国商工会議所会頭など歴任。米国先端政策研究所(CAP)はオバマ政権に近い。64歳。

米国側にも反省材料〉>

 米国には2つの大きな政党があるのに、日本の指導層は共和党の方が好きらしい。共和党だけでなく、民主党との関係も深めるべきだとの主張は、現状に対するフクシマ氏の危機感の表明であり、日本に発信される意味は大きい。同時に、7点にわたって日本の共和党傾斜の理由を分析した部分は、実は米側に向けてこそ、反省材料として発信される意味がある。例えば民主党系の人たちは確かに共和党系に比べ、日本の要人との関係構築の技術で劣るようにみえる。

(特別編集委員 伊奈久喜)

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