2014/05/18 本日の日本経済新聞より 「超高層ビル 振り子で守る」

今日は、日本経済新聞13版の19面(サイエンス)にある「超高層ビル 振り子で守る 揺れ、半分程度に制限」から、要点と所感を整理する。

3年前の東日本大震災では、ゆっくりと大きな揺れが長く続く「長周期地震動」が大都市の超高層ビルを襲った。超高層ビルが林立する東京・新宿で今月、新しい対策技術の施工が始まった。屋上に鋼鉄製の巨大なおもりをつるし、振り子の特徴を生かして揺れを抑える。どの程度効果が期待できるのだろうか。

霞が関ビルディングなどとともに、日本の超高層建築の先駆けとなった新宿三井ビルディング(東京・新宿)。55階建て高さ210メートルのビルの屋上に、日本初の制振装置が設置される。

ビルを所有する三井不動産と施工を担う鹿島によると、まず鉄骨のやぐらを6基組み立て、それぞれに高さ12メートル、重さ300トンの重りを長さ8メートルのケーブル8本でつるす。おもりの重さは合わせて1800トンあり、ビルの総重量の約3%に当たる。振り子は建物の揺れに対して逆方向に振れるため、建物が元の方向に戻ろうとして揺れが小さくなる仕組みだ。

建物は高さや大きさによって揺れやすい周期(固有周期)が決まっている。木造住宅なら0.1~0.5秒、高さ45メートルのビルだと1秒以上になる。高くなるほど長くなり、300メートルの超高層ビルだと7~8秒といわれる。

長周期地震動は超高層ビルの固有周期と重なって「強震」と呼ぶ現象が起きて揺れが増幅される。減衰しにくいため、揺れが続く時間も長くなりがちだ。

超高層ビルの耐震性は高く、大きく揺れても倒壊する可能性はまずないとされる。しかし、天井や壁などが落下したり家具が動いたりして、人がけがをするおそれがある。乗り物酔いのような症状に悩まされる人も出てくる。

新宿三井ビルは東日本大震災の地震がおさまってから、屋上が最大で2メートル、約2分ほど揺れた。三井不動産の資産管理グループの野末泰樹グループ長は「東日本大震災では、入居するテナントや利用者から、揺れが大きくて不安を感じたとする声を受けた」と、新技術導入の理由を説明する。…

タイトル「超高層ビル 振り子で守る」を見ると、「(倒壊する可能性のある)超高層ビルを振り子で守る」という話かと思いきや、どうもそうではないらしい。

超高層ビルは倒壊する可能性はまずなく、その中にいる人の不安を解消するための仕組み、とのことだ。そのために、今回のビルで言うと、自重の3%にも上るおもりをビルの屋上に置くとのことである。

そうは言うものの、疑念がぬぐえずにいた。

「そもそも、既存のビルには耐荷重というキャパシティがあり、自重の3%とは非常に厳しいのではないか」

このように読み進めたところ、記事の最後にこの技術の重要なポイントが書いてあった。

それは、このおもりの重さがビルの柱に直接伝わるようにすれば構造を補強する必要がないという点である。梁ではなく、柱にというのがポイントのようである。

事前の実験はすこぶる良好のようで、鹿島の構造設計統括グループの責任者も「計算した通りの動きをしている」との自信を見せている。おもりの数やケーブルの長さを変えれば、様々な高さや形の建物に対応できるとのことで、新技術は既存のビルに適しているとも評されている。ビル内で地震による揺れへの不安、これを解消できるのもそう遠くない将来に訪れるようである。

しかし、そのビルの周囲を歩く歩行者が地震に遭遇した際、目の前のビルの屋上で重さ300トンのおもりが揺れうごめいていると知った時の不安は、それは地震以上の恐怖であるに違いない。灯台下暗しとはまさにこのことではなかろうか。

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