2014/08/14 本日の日本経済新聞より「エルドアン大統領のトルコ(下) 遠のく「地域の盟主」 外交迷走で関係悪化」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「エルドアン大統領のトルコ(下) 遠のく「地域の盟主」 外交迷走で関係悪化」です。





 欧州と中東の間の要衝に位置するトルコの外交が迷走している。中東各国の混迷が続くなか「中東で唯一の民主的なイスラム国家」を自負し、全方位外交で「地域の盟主」を目指す。だが、情勢の読み違えなどで周辺国との関係は悪化。エルドアン首相は大統領就任後、積極外交を強めるとみられるが、外交立て直しの道筋は見えない。

 トルコは一段の発展に向けた歴史的な好機を手にしている――。オバマ米大統領は12日、大統領選で勝利したエルドアン氏に電話で祝意を伝えた。北大西洋条約機構(NATO)の同盟国として、内戦状態にあるイラクやシリア情勢での協力を確認した。

 ただ、中東専門家のジョナサン・シャンツァー氏は「オバマ氏はエルドアン氏にもはや頼っていない」とみる。シリアとイラクで抑止役として機能せず、過激派の台頭に手を貸す形になってしまったからだ。

過激派が出入り

 シリア反体制派を支援するトルコのシリア難民キャンプから反体制派の戦闘員がシリア側に自由に出入りし、シリアに無秩序に武器や戦闘員が流入。これがイスラム過激派の急拡大を招いた。米政府はシリア反体制派内の過激派の伸長を早くから問題にし、2012年に「ヌスラ戦線」をテロ組織に認定した。

 一方、トルコ政府による認定は今年6月と遅れた。その間、シリアからイラクに勢力圏を広げて混乱をもたらす「イスラム国」など複数の過激派が台頭した。

 イラク北部モスルでは6月、トルコの外交官ら約50人が過激派に拉致された。対シリア政策はトルコ外交の迷走の象徴だ。

 エジプトではイスラム組織ムスリム同胞団系のモルシ前大統領が昨夏、クーデターで失脚した。同胞団を支援してきたトルコは、エジプト軍出身のシシ新大統領を選出した5月の大統領選後もクーデターへの激しい批判を続ける。

巨額投資逃す

 米欧がシシ氏との関係修復を探るのと対照的に、トルコとエジプトは互いに大使を追放。トルコはシリア、イスラエルを含む周辺の3カ国に大使がいない異常事態に陥っている。

 その代償は小さくない。エジプトを支援するペルシャ湾岸産油国とも関係が冷え込んだ。アラブ首長国連邦(UAE)の政府系エネルギー開発会社はトルコ南東部の石炭火力発電所への約120億ドルの投資を見送った。トルコ政府のカルン外交上級顧問は「苦しんでいるシリアやエジプトの市民を、トルコは無視できない」と話す。

 トルコの外交評論家、ソリ・オゼル氏は「トルコ外交の能力と願望の間に差がありすぎた。現実主義がおろそかになっている」と批判する。

 エルドアン氏は国外に「敵」をつくり出すことで国内の支持固めに利用したとの指摘もある。対象は中東諸国にとどまらない。批判的な欧米メディアを敵視し、6月には米CNNのリポーターを「スパイ」と言及した。

 政治評論家のムラット・イェトキン氏はトルコ外交が「もっと冒険主義的になる」と予想する。クリントン前米国務長官は回顧録で「トルコが中東と欧州で重要な役割を果たすことは間違いない」としながら「その未来がどうなるかは分からない」と記した。

 メディア統制もいとわないエルドアン氏の手法に、欧米では「独裁者の誕生か」(独シュピーゲル誌)との声もあがる。6月末にテレビとのインタビューで「中国とロシアをモデルにした大統領制を導入したい」と語ったことで、その懸念はいっそう強まった。

 イスタンブール=花房良祐、シナン・タウシャンが担当しました。

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