2014/08/31 本日の日本経済新聞より 「がん社会を診る 発症リスク下げるには」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞14版の17面(健康)にある「がん社会を診る 発症リスク下げるには」です。





 今回は、これまで述べてきた発がんリスクを下げるコツを整理してみます。一番大事な禁煙ですが、受動喫煙にも注意が必要です。お酒が「百薬の長」なのは日本酒換算で1合までで、顔が赤くなる人はとくに要注意。飲みながらの喫煙は自殺行為といえます。

 子宮頸(けい)がんの原因は性交渉に伴うヒトパピローマウイルスの感染です。このウイルスに対するワクチンが開発されており、接種することで発がんリスクを3割近くまで下げることができます。

  胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌に感染していなければ、発症確率はほとんどありません。肝炎ウイルスの感染がなければ肝臓がんができる確率は約2割に下がります。

 なお、ピロリ菌には日本人の約半数、高齢者に限ると8割近くが感染していますが、胃がんの年間発症数は約13万人です。ヒトパピローマウイルスも女性の約7割が感染経験を持ちますが、年間の発症数は1万人にもなりません。

 ピロリ菌やヒトパピローマウイルスに感染している人が、塩分過多になったり、喫煙したりする場合にまれにがんができるのですが、感染がなければ、まずがんは発症しません。各自が感染の有無を知っておくことが大切で、たとえば、ピロリ菌感染がない人が毎年、内視鏡検査を受ける必要はないわけです。

 がんを防ぐ食事のポイントはバランス良く食べることです。とくに、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜、大豆、青魚などはがん予防に有効です。しかし、日本人の摂取量は減り続けている一方、肉の摂取量が過去50年で10倍近く増えており、乳がん、前立腺がんの急増に象徴される「がんの欧米化」が進んでいます。

 運動はがん予防の決め手で、その量が多いほど発がんリスクを減らします。反対に、糖尿病はがんを2割も増やしますから、太りすぎないことが大事です。しかし、過度なダイエットによるやせすぎもがんを増やしますから問題です。なお、授乳は乳がん予防に非常に有効です。サプリメントはお薦めできませんが、コーヒーや緑茶はがんの予防に有効です。

 ただ、生活習慣を改善しても発がんリスクは3分の1程度までしか下がりません。早期発見のためのがん検診は欠かせません。

(東京大学病院准教授)

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