2014/09/03 本日の日本経済新聞より「不動産投資は腰据えて 価値下落などリスクも」

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「不動産投資は腰据えて 価値下落などリスクも」です。

大家さん業を始めようとする方に読んでいただきたい記事です。





 給与のほかに毎月、家賃収入が得られる。勤め人なら誰もが憧れそうな話だ。本やインターネットで調べると、不動産投資をしたサラリーマン大家の成功実例が多く紹介されている。投資額は最低でも数百万円と、ほかの資産運用と比べて投資額は大きく、リスクへの理解は重要だ。手早く稼ぐことは期待せず、長期的視点で資産を形成するとの心構えが大切だ。

 投資用の不動産物件を紹介するサイト「楽待」に登録する会員数は7月時点で3万6672人と、前年同月と比べて6割増えた。国内景気の浮揚感や長引く低金利のほか、「来年1月から相続税の税率が引き上げられるため、節税目的で物件を買う人も目立つ」(三井不動産リアルティの佐藤邦弘コンサルティング営業部長)。不動産投資への関心は高まっている。

 

主な収入は賃料

 不動産の投資には様々な種類がある。マンションやオフィスビルを1棟丸ごと購入する人もいるが、ワンルームマンションを1戸買い、賃料収入を得るのが典型的な手法だ。

 結局、どの程度の収入が見込めるのか。年間の家賃収入を物件価格で割った表面利回りが参考になる。楽待を運営するファーストロジック(東京・港)によると、7月時点でサイトに掲載された約4千件の投資向けマンションの平均表面利回りは9.01%で、6月比0.12ポイント上昇した。物件価格が下落したことで、7カ月ぶりに上がった。

 物件価格は平均で1戸1247万円なので、表面利回りから計算すると、年間の賃料収入は約112万円。月間だと約9万4千円になる。

 これはあくまで表面の数字にすぎない。賃料に対し、税金や管理費、修繕積立金や保険など諸経費がおおむね2割かかると言われる。諸経費を差し引くと、月間でざっと7万5千円だ。

 勤めながら不動産投資をするとなると、多くは、ある程度のローンを組んで物件を買うことになる。不動産調査会社、東京カンテイ(東京・品川)の井出武主任研究員は「結果的に利回りが2%に届かない可能性もある」という。「過度な借り入れには頼らない」(三井不動産リアルティの佐藤部長)のが鉄則だ。

 野村不動産アーバンネットの栄信行・資産コンサルティング部長は「何を求めるかで不動産投資は考え方が異なる。現役時代に購入し(賃料を)老後の年金代わりにと考える人もいる」と説明する。手っ取り早く毎月のお小遣いというより、長期的視点で物件を購入する人が多いようだ。

 不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」(同)だという。株式などと違い、売却益を狙う人は今はほとんどいない。賃料の変動が緩やかなのも利点だ。

 ただ、投資額が大きいぶんリスクをしっかりと理解する必要がある。まずは資産価値の下落だ。売ろうとしたら、購入時の価格を下回り、最終的に損をすることも十分考えられる。またローンを組んでいたら、金利の上昇もあり得る。何より、入居者がいなければ当然、家賃収入はゼロになる。

 

新しさより立地

 失敗しない不動産投資のポイントは、まず物件の選定だ。SBIライフリビングの鈴木英樹執行役員は「まずは立地条件が重要」と話す。入居者が途絶えず、賃料を維持するにはとにかく駅から近いことが前提だ。多少、物件が古くても需要は根強く資産価値も下がりにくい。特に東京や大阪のような都心部だ。

 投資用物件を自社開発で手がけるSBIライフリビングは1棟売りがメーンだが、都内の駅から徒歩10分圏に的を絞っている。

 借り入れをするならローンの組み方も注意しないといけない。返済に追われ、利益が出なければ投資の意味はない。かと言って返済額を抑え返済期間を長くすれば金利上昇のリスクも出る。ローンと賃料収入の折り合いはしっかりと考えたい。これらをクリアしてようやく物件を購入できる。

 物件を貸すようになると、大家として賃料の設定など頭を煩わすことも出てくる。入居者と家賃滞納のようなトラブルがあるかもしれない。投資用物件は大半が中古マンションになるので、メンテナンス面も常に注意しなければならない。

 そんな悩みを取り除く仕組みとしてサブリースがある。不動産会社が部屋を割安に借り上げて、また貸しする。実入りは多少減るが、不動産会社に借り上げてもらうことで毎月の賃料が絶える心配はない。

 大家として収益を上げられるようになれば、マンションやアパートを1棟丸ごと買うという選択肢も出てくる。賃料収入も増えてくる。

 しかし、そのぶんリスクも大きくなり、失敗したら取り返しがつかなくなる可能性もある。東京カンテイの井出主任研究員も「無理な不動産投資はお薦めできない」とクギを刺す。手元の資金に余裕がなければ、1棟買いには慎重になったほうがよさそうだ。

 不動産投資は相続税対策としても比較的有効だ。現金は保有高がそのまま評価額になるが、不動産への評価は路線価がベースで、市場で売買される際の時価よりも基本的には低い。貸した場合はさらに評価が下がり、支払う税金を減らせるというわけだ。

 東京・中央でマンションを保有する外資系企業のサラリーマン(40)は「現金を不動産という資産に変えて持つという発想。目先の利回りなどにこだわらずじっくり構えたい」と話す。

(筒井恒)

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